新聞社も襲う暴徒たち
2008年06月28日 11:28
27日の韓国各新聞一面は、北朝鮮の核問題ではなく、米国産牛肉問題で埋められた。五紙のうち二紙は、無防備でうずくまる警察官を、抗議デモの男3人がけり飛ばす写真を掲載した。
韓国政府が輸入再開を告示した26日の夜、5月初めに始まった抗議行動は完全に暴力化し、デモに批判的な新聞社が襲われた。わが支局に近い朝鮮日報社の玄関には生卵が投げ付けられ、壁の社名ロゴがはぎ取られた。東亜日報社はカメラマンが首を絞められ失神した。この日のデモ参加者は約3000人。ヘルメットこそかぶっていないものの、日本でいえば死語に近い「極左暴力集団」である。
李明博大統領の対応にも問題は多い。輸入再開は拙速な判断だったと国民に二度も謝罪しながら、内閣改造も後回し。告示は米国との追加交渉妥結から一週間後と、またも拙速だった。
それにしても、輸入対象の安全性はとうに国際基準をクリアしているのに、一部日本メディアも含め、扇情的なデモ報道には首をひねるばかりだ。デモ隊の英雄性を伝えているつもりだろうが「聞く耳を持たない国民性」と読者に誤解されてはシャレにもならない。
=2008/06/28付 西日本新聞朝刊=