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【道路を問う】

スマートIC欲しい 税金使い『カラ通行』

2008年4月7日

利用台数が水増しされていた磐越道・新鶴スマートIC=福島県会津美里町で

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 高速道路のサービスエリア(SA)などを利用して車の出入り口を造る「スマートインターチェンジ」(IC)。国土交通省は実験段階で車の利用実績が認められたとして、すでに全国三十一カ所で本格導入したが、中には地元の自治体職員が公用車を使って“実績”を水増しし、常設化にこぎ着けたところもあった。国交省は今後、五千億円を投入して約二百カ所の建設を目指すが、建設基準の不透明さが浮き彫りになっている。 

 利用データの水増しがあったのは福島県会津美里町の磐越道・新鶴(にいつる)スマートIC。二〇〇五年末に実験導入され、昨年四月に常設となった。従来の新鶴パーキングエリア(PA)にETC車専用の出入り口と一般道までのアクセス道路を建設。国と地元で約九億円を負担した。名称は旧新鶴村に由来している。

 町は〇六年十二月、ICの利用台数をかさ上げするため、ETCカード使用料として二百五十万円の補正予算を計上。渡部英敏町長は議会で「一日五百台の利用がないと国交省に駄目と言われる」と説明。「カラ出張的で問題」などと反対した町議は少数だった。

 町の職員は仕事がなくても公用車で磐越道を走り、新鶴ICで乗り降りを繰り返した。一日に約九十回利用したこともあり、昨年一−三月の月平均利用台数は四百台以上と、前年同期の二百数十台から大きく増えた。

 「町民の税金で“カラ通行”しないと成り立たないICを国民の税金で造る。二重の無駄遣いですよ」

 そう怒る元町議の鹿野敏子さん(55)らは、公金返還を求めて住民監査請求をしたが、同町監査委員は昨年五月、「町長の裁量権の範囲内」と棄却した。元高校教諭の東瀬紘一さん(68)は提訴も考えたが「訴訟で、また公金が無駄遣いされるからやめた」と話す。

 長谷川緑・同町建設課長は「ICは二十年越しの悲願。アクセス道の整備に一億円かけており、ICが閉じたらパーになる。(水増しは)数字を出すにはやむを得なかった。地元には必要だし、会津観光の利便性も増す」と話している。

 

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