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【道路を問う】

スマートIC ばらまき事業の恐れ

2008年4月7日

 高速道路のETC車専用出入り口のスマートインターチェンジ(IC)について、国土交通省は今後十年間の道路中期計画で、全国約二百カ所の建設費として五千億円を盛り込んでいる。だが、隣り合うICとの距離や車の利用台数といった明確な設置基準がないため国交省の裁量でどこにでも建設が可能。このため、関係者の間では「ばらまき事業になる恐れがある」との懸念が強い。 

 高速道路のICは本来、民営化した各高速道路会社が建設・管理するが、国交省は「高速ネットワークの有効活用」を理由に国費と地元負担での建設を決定。そのため「計画の策定には民営化会社の意向は働かない」(関係者)とされる。

 スマートICは既存のサービスエリア(SA)などを利用して造るため、国交省はこれまで「費用はかかって八億円」(冬柴鉄三国交相の国会答弁)とPRしてきた。ところが片側一車線でSAなどを使わない場合、ICの前後数キロを拡幅する必要があり、建設費は約百億円に上る。

 中期計画にはこうした高額のICが約二十カ所(計約二千億円)も含まれることが本紙報道で表面化。野党は「スマートとは到底呼べない」と追及し、福田康夫首相も趣旨を逸脱して建設費が膨らんでいると認めるなど、「巨額財源の消化が目的」との批判が出ている。

 元日本道路公団幹部は「ICをほしがるのはドライバーでなく、公共工事と人気取りが目的の首長や政治家。票と献金に結び付くからで、特に高額ICは最初に工事ありきの典型」と批判している。

 

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