【ニューヨーク=立野純二】米連邦最高裁は26日、個人が家庭で銃を持つ権利を認める判断を示した。国民の武装の権利をめぐる憲法修正第2条について初めて明確な解釈を示したもので、銃の容認派が論争に勝利した形だ。全米の銃規制制度に影響を及ぼす可能性がある。
米国の銃の権利をめぐる憲法論争は、18世紀に定められた修正第2条が争点だった。同条は、州兵の必要性と国民の武器所有の権利を並べて認めた内容であるため、銃の権利が認められているのは、州兵組織に限られるのか、それとも一般市民も広範に含むのかが長年の争点だった。
今回審理していたのは、家庭で短銃を持つことを禁じた首都ワシントン市の規制条例をめぐる訴訟。最高裁は26日、修正第2条について、市民個人が自衛や狩猟などのために銃を保持・携帯することを認めたものとの判断を示した上で、規制を違憲とした。
最高裁判事の間でも賛否が割れ、判決は5対4の小差で決まった。家庭での短銃所持をほぼ一律に禁じるという同市の条例は全米でも最も厳しい規制の一つだが、最高裁は、「絶対的な保持の禁止令」は違憲とした。
最高裁は同時に、武装する権利は「無制限ではない」との注釈もつけ、銃所有者の資格や携行の場所、目的などについて一定の規制はあり得るとの見解も示した。ただし銃所持の免許・登録制も含め、どこまでが合憲なのかの判断までは踏み込んでおらず、論争が続くのは確実だ。
銃容認派の代表的組織である全米ライフル協会は「画期的な司法判断」と歓迎する声明を出し、銃の保持を規制している他の都市の条例についても違憲訴訟を起こす方針を示した。一方、ワシントン市の市長は判決を批判しながらも、今後は登録制の形で市民が家庭で短銃を持つことを認める方針を示した。