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団体多く進まぬ一本化〈3〉

2008年06月26日

 サッカーJ1「大分トリニータ」の公式ホームページ。女子チームや監督の公式サイトに挟まれるように、中学硬式野球チーム「大分東リトルシニア」へのリンクがはられている。Jリーグが下部組織として野球チームを持つ、初めてのケースになる。

 「プロ野球選手、メジャーリーガー輩出」を目標に06年9月に創部。だが、出足からつまずいた。「入団金なし、月謝無料」で選手を募集すると、リトルシニア九州連盟から注意を受けた。「会費なしで野球を教えるのは、特待生と同じ」という理由からだ。

 トリニータを運営する「大分フットボールクラブ」から年間数百万円の強化費が出て、無料で使えるグラウンドもある。プロのトレーナーが体力強化メニューを作り、専用の医療・リハビリ施設も利用できる。「地域貢献」「青少年の健全育成」を掲げるJリーグの理念に沿うものだが、全日本リトル野球協会(シニア)の北村寛・監事は「アマはボランティアが基本。Jリーグが集めたお金でやると言われ、『はい、そうですか』とは言えない」。

 結局、チームはいま、月3千円の会費をとっている。

 サッカーはプロを頂点に各世代の組織を日本協会が「縦」で束ねる。一方、野球界は一本化されていない。中でも中学硬式は団体がいくつもあり、「横」の壁まである。

 改善の動きも出ている。ボールやスパイクなど道具の規定で各団体が歩み寄り、別団体との練習試合もできるようになった。「垣根にこだわる時代ではない」と日本少年野球連盟(ボーイズ)の藤田英輝副会長(67)。しかし、各団体の利害や思惑が絡み、一本化への動きは見られない。

 今春、大分東は卒団生10人全員が県内の公立校に進学した。「まだまだ手探り状態」と話す事務局長の加来大機(51)は大分FC職員で、双方の現場をよく知る。「野球の組織は複雑ですね」。大人の都合で、子どもたちが振り回されているように見えるのかもしれない。(敬称略)

 <交流試合> 94年に始まった「ジャイアンツカップ」が昨夏から日本野球連盟主催となり、主要7団体が集う全国大会になったことで機運が高まった。ボーイズは昨年8月、シニアも今年4月から認めた。申請書を出せば、他団体の所属チームと練習試合ができる。



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