5月23日付朝日新聞に「商議所・商工会 存在意義問う声」という見出しの記事が掲載された。その趣旨は地域の商工会議所、商工会は中小企業にとって本当に役立っているのか、というものであった。とくに費用対効果からみて疑問だという問題指摘である。中小企業対策を考える上でまことに興味深い。そこで筆者なりに商工会などの小規模事業対策をどう考えたらよいのか、経営指導とは評価できるものか考えてみたい。
もともと経営改善事業が始まったのは、60年商工会法が成立してからで、生業から企業として健全な発展を図るための補助金事業として始まった。商議所は補完的にこの事業に参加、本格的に取り組むようになったのは、71年ごろからであった。それ以降年々予算も拡大し、うち人件費のウエートも高まっていった。その後増大する財政に耐えられず、補助金事業から各都道府県への地方交付金へと変わっていった。交付金となると、経営改善事業のひも付きでなくなる。別途財源に転用すれば中小企業対策の空洞化になる。
経営相談は事業者の秘密にかかわる。それだけに、毎日の挨拶(あい・さつ)をかわし、時には経営者夫婦の喧嘩(けんか)仲裁、子供の就職斡旋(あっせん)など努力を重ね信頼を得て、初めて相談をしてくれる。その内容は経理、金融、税務など幅広い。広く深い知識が要請される。経営は経営者による芸術であるように、経営相談も芸術である。それを評価するのは実に難しい。中小企業といってもその大多数は小規模事業者である。大切なことは、経営改善事業が経営資源に乏しく、支援のほとんどない小規模事業者社会の安心・安全弁の役割を果たしているということである。(共生)