大阪府和泉市は27日、赤字が続く市立病院の経営悪化に歯止めをかけるため、8月から市長を含む職員約1500人全員の給与カットに踏み切ることを決めた。12年度までの予定で、年間の削減額は約1億5千万円の見込み。公立病院の経営改善を目的に、全職員が給与を切りつめるのは全国でも異例という。
同日開かれた市議会本会議で給与条例改正案が可決された。削減幅は市長と病院事業管理者が10%、副市長と教育長が6%。職員は給料の2%のほか、管理職手当が10%。
市立病院によると、赤字に陥るようになった発端は、全国的な医師不足の影響で、大学病院が派遣していた医師を引き揚げたのが理由。06年6月末に消化器科担当の医師が不在になり、07年には9人いた外科医師が半減した。この結果、入院患者らへの対応が困難になり、周辺の医療機関に転院するよう求めた。
その後、医師を確保し、徐々に医療態勢を整えてきたが、市民の信頼が失われ、患者が戻らない状態が続いていた。07年度は一般会計から8億円余を繰り入れても15億9千万円の赤字が出る見込み。
市人事課は「これだけで黒字化が実現できるわけではないが、多少の助けになれば、との思いで決めた。さらなる経営努力は不可欠だ」としている。(石前浩之)