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滝川のタクシー補助制度詐欺:札幌地裁判決(その2止) 要旨 /北海道

 被告は1年以上にわたって生活扶助費を不正受給し続けたり、多数回にわたって通院移送費の不正請求を繰り返し、常習的な犯行である。勝彦被告とタクシー会社との間で作り上げられた通院移送費の環流システムは第三者には把握し難いものであっただけでなく、架空移送分にかかる通院移送費詐欺では、タクシー会社で運行表に虚偽行程を記入してその体裁を整えるなど犯行手口は巧妙である。

 被害額は2億円余りに上る。06年、07年度の滝川市の生活保護費予算は12億円余りで、一地方都市の生活保護予算のかなりの部分を食い物にした未曽有の巨額公金詐欺事件といえる。

 また、生活保護制度に対する信頼を大きく揺るがせた犯行である。弁護人は市の不適切な対応によって被害が拡大したことを考慮すべきであると主張している。滝川市生活保護費詐欺事件検証第三者委員会報告書によれば、通院移送費の支給の必要性について「調査を尽くし慎重に判断すべきであった」と指摘されているが、市の対応に不適切な点があったとしても、それに付け込んで不正な利益をむさぼっていた被告に市の対応の是非を論ずる資格はないと言うべきであるから、弁護人の主張は採用することができない。

 勝彦被告はタクシー会社に対し、05年8月ごろから通院移送費の1割を支払うよう要求し、その後支払分の増額を迫ったり、滝川市の自宅から札幌の病院までの通院移送がなかった場合にも通院したように装うように要求するなどし、滝川市からタクシー会社に支払われる通院移送費を環流させるシステムを作り上げるとともに、ひとみ被告にも介護タクシーを利用するよう仕向けており、本件詐欺の首謀者である。勝彦被告は、環流金の大部分を自分のものにしていたと認められ、次々と自動車を購入したり、女性との交際費や飲食代などの遊興費に充てるぜいたくざんまいの生活を送った。結局のところ、遊興費ほしさから詐欺の犯行に及んでおり、動機に酌量の余地は全くない。

 ひとみ被告の犯行動機も自らの遊興費などに充てたいという利欲的なもので酌量の余地はない。ひとみ被告が受け取った環流金は少なくとも07年3月以降は1カ月150万円前後と巨額だった。

 以上、両被告の刑責はいずれも非常に重く、特に本件詐欺の犯行の首謀者である勝彦被告の刑責は、ひとみ被告のそれと対比して際だって重い。

 もっとも、勝彦被告には公判廷で反省の弁を述べていること、身体障害1級であるなどの事情が存在する。ひとみ被告も反省の弁を述べているうえ、実際の利得は勝彦被告に比べてかなり少ない。

毎日新聞 2008年6月26日 地方版

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