【石原知事会見詳報】「アメリカは結局逃げちゃった」 (3/3ページ)

　−−都は大規模事業に二酸化炭素の排出量削減を義務づけた条例を成立させたが、国や他の自治体は慎重な姿勢を見せる。どう考えるか

　「だからやっぱりね、東京と同じような文明史観、それに沿ったね、やっぱり環境に関する危機感というものを持ってもらわんとね。とにかく、識者が言っているみたいに、５年後を過ぎたら（地球温暖化の）ポイント・オブ・ノーリターン（引き返すことができなくなる限界点）を過ぎちゃうわけですから。５年先に条例ができたんじゃ、遅いわけでね。やっぱり具体的にですね、政策をしていかないと。これを食い止めなかったらですね、われわれが生きている代はもつかもしれないけども、子孫の代で人口のですね、生存にかかわる。それを左右する問題が起こってくるわけだからね」

　「やっぱり、ヨーロッパのような、先進国と同じ見識を持って同じ危機感を持って、対処しているわけです。日本だけが遅れていいわけがないし、日本も先進国の一つであるし、進んだ技術を持っている国ですから。総理がたんかを切るのは結構だがね、この５０〜６０％削減するために何をするかってことを決めていかないと。とても間に合わないんじゃないかと思います」

　−−埼玉県など他の自治体に対してはどう思っているか　

　「それはまあ、今まで一緒に大気汚染なんかも広域行政で支援やってきましたからね。できればですね、排気ガス規制をやった神奈川県も千葉県も一緒にですね、首都圏として（削減義務づけを）やれば、ずいぶん大きな引き金になる、と。埼玉県の動きを歓迎しますね。やっぱりある程度、規則を作って進まないと、なかなか実効性というのは現れてこないと思います」

　−−都は、太陽熱システムの環境価値を認めて都が買い取る制度を示しているが、どう考えるか

　「いや、詳しくはまだ聞いてませんがね。いずれにしろ、太陽熱の利用というのも今までやってきたし、それに関する技術は日本が一番進んでいる分野の一つでしょうけど、実際に実用する総量というのは技術のわりに増えていないのでね。そういうものを促進することは必要だと思いますし、条例に加えてですね、やっぱりその、代替エネルギーというのかな、そういったものを活用する。そういう姿勢が普遍化していけばコストも安くなるわけですからね」

　「というのも、お日様の光は無料なんだから。そういう協議会で具体的に、そういう方法をいかに普遍化していくかということも、結局『インセンティブ（奨励）を付ける援助をしろ』ということかもしれないけれども。これもまた、上がってくる効果ってものを換算する。これはなかなか難しいけどね、タイムスパンは長いから。でもやっぱり、大きな手段の一つだと思います。既に大きな技術を持っているわけですから日本は」

　−−２年後に排出量取引制度が行われる際に、一般家庭で使った太陽熱エネルギーも取引として使えるのではないか　

　「それはありうると思います。やっぱりそれはね、具体策としてね、検討に値するものだと思います」

　−−私立学校にも耐震のための資金的な支援を考えているのか

　「そんなとこまでは踏み込んで考えてませんが、やっぱり、私立は私立で私営の一つの教育機関であると同時に、ある営利も考えて運営されているわけですからね。その経営者たちも経営者の責任として、耐震化の問題をどう生かしていくかが問題でね。最低限、自分の施設というものが、どれだけの強度性を持っているかということを専門家に調べてもらう。それでやっぱり、この問題に対する自覚ってものができてくるんじゃないでしょうか。それなりの援助はしますけどね、督促もしますけど」