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くらし

力のいらない身体介助 理学療法士が本出版 

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「力のいらない介助術」を出版した福辺節子さん=いずれも大阪市淀川区、履正社医療スポーツ専門学校

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相手の上腕部に触れてもらった。指先は曲げず、腕を包み込むように持つ。「相手の腕の形に自分の手のひらを沿わせるというイメージです」と福辺さん

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悪い触り方の例。指先に力を入れてつかむと、相手は「動かされ感」や痛みを覚えてしまう

 「介助に力は必要ない」「いい介助とは空気のようなもの」-。専門学校教員で理学療法士の福辺節子さん(54)が「福辺流 力のいらない介助術」(中央法規出版)を出版した。その人の能力を見極めて意欲と力を引き出し、足りない部分をサポートするのが“福辺流”。二十四年間にわたる現場での実践を支えるのは「介助は相手との共同作業」という信念だ。(溝田幸弘)

 「声かけ」や「触り方」といった基本的な動作にも、福辺さんは細心の注意を払う。

 相手の体に触れる際は、写真(良い例)のように、不要な力は加えない。福辺さんが年に数回開く介助術のセミナーでは、受講生から「こんなに軽くていいの」と驚きの声が上がるという。

 介助の前に声をかけるのは当然だが、「ひざを曲げますよ」と言いながら、相手の反応を待たずに触るなど基本がおざなりだったり、ひどい場合は何も言わずに触れたりすることが、しばしば介護現場で見られる。

 「相手が健康な人だったらどう思うか、考えてほしい」と福辺さん。「認知症など周囲の状況が分からない人にとって、いきなり触られるのは怖い」。介助を始める前に、はっきり言葉で伝えるよう呼びかけている。

 「少し距離を置いて全体を見る」ことも大切だ。作業をしていると、自分の手元だけに注意が向きがちだが、それでは相手の状態を把握できない。「例えば利用者さんがバランスを崩しそうになっていても、離れている方が対応しやすい」

 福辺さんは三十歳で理学療法士になり、訪問リハビリテーションや専門学校、老人ホームでの指導にあたってきた。大学生のころ遭った交通事故で、左ひざから下を失ったが、介助の際、義足であることに不自由を感じたことはないという。

 ポイントは「介護を受ける側の意欲と力を引き出すこと」と福辺さん。「ごく一部の例外を除き、どんな人にも自ら動こうという意欲がある」。やる気を損なわないよう、相手と共同作業をするつもりで取り組んでほしいと訴える。

 そのためには相手に何ができて、何ができないのかを十分に理解しなければならない。

 立ち上がれない人がいたら、どこまで助けたら、後は一人で立ち上がれるのかを見極めることが大切だ。立ち上がれない理由は人によってさまざまだ。「最初は動けても、ひざが伸びないから立てない人。あるいはひざは伸びるけれども、立ち上がる際に一瞬前のめりになるのが怖くてできない人。前者と後者では、必要な介助がまったく異なる」。状態を考えずにいきなり立たせてしまうと、介助される側は意欲を失ってしまうという。

 家庭で介助する場合でも「自分がやりすぎていないか、無理なことを頼んでいないか考えてみてほしい」と福辺さん。普段、リハビリをしている理学療法士らに相談してもいいという。

 著書では心構えのほか、立ち上がりや寝返りなどの基本動作を写真入りで紹介。「介助経験がない一般の人にも読んでもらい、賢い介護者になってほしい」と呼びかける。二千百円。中央法規出版TEL03・3379・3861。セミナーの問い合わせは福辺さんTEL090・8379・3805。ホームページはhttp://www.mou-ippo.jp/

(6/18 09:35)

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