アビスパが今季初のアウェー戦勝利で、これまた今季初の連勝を飾った-。J2のアビスパ福岡は31日、佐賀県鳥栖市のベストアメニティスタジアムでのサガン鳥栖との九州ダービーに臨み、MFタレイの2得点などで3-1と快勝。今季の鳥栖との対戦成績を2戦2勝とし、11位に順位を一つ上げた。ゴタゴタ続きの福岡に敗れた鳥栖は連勝が2でストップした。
これまでのトラウマを一気に振り払う勝利だった。鳥栖との九州ダービーという絶好の舞台でアウェー初白星を飾り、今季初連勝。ハチ軍団が完全に自信を取り戻した。
まずは課題だった得点直後の失点。またも繰り返されたが、今回は乗り越えた。前半15分にMFタレイのPKで先制。だが11分後に鳥栖のFW谷口に同点弾を決められた。嫌なムードが漂い始めた同41分、DF長野が相手のクリアミスを見逃さず、狙い澄ましたコースへ流し込んで勝ち越した。「流れを取り戻すため前半にもう1点必要だった」。攻撃モードに入って谷口へのマークを外した場面でゴールを許した自らの「ミス」を帳消しにし、長野は胸を張った。
次は大量失点で崩壊しかけていた守備陣に立ち直りの兆しが見えてきたことだ。2-1で突入した後半。DFルダン、山形は鳥栖の得点源、FW藤田とMFレオナルドの動きを完全に封じた。山形は「やられる気がしなかった」と自信の表情。最終ラインをコントロールした布部主将は「ピッチ上で迷う場面がなくなった。前はぼやけていた部分がはっきりしてきた感じ」。手応えだけでなく、結果もついてきた。
状況に応じた落ち着いたパス回しでゲームを支配。ロスタイムにはタレイのダメ押し弾も飛び出し、内容、結果ともに最高の形で九州ダービーを締めくくった。2得点のタレイは「シーズンが終わるときには、今と違う状況になってるよ」と明るい声を響かせた。
リトバルスキー監督も「3得点より(選手が)ゲーム中の約束事を守ってくれたことがうれしい。タフな相手から勝ち点3を取れたことも大きい」とうなずいた。監督去就問題、5連敗でクラブ史上最低の14位と、大揺れだったアビスパが反撃態勢に入った。 (丹村智子)
=2008/06/01付 西日本スポーツ=