アップルに対抗? Apple TV vs PS3
ソニーは、これから3年間の経営方針を発表した。
ハワード・ストリンガーが語る今後3年のソニー--中間経営方針を発表
「PS3は、全普及台数の半数以上がネットワークに接続されている。内蔵ハードディスク(HDD)も備え、ダウンロードコンテンツも楽しめるという製品内容をゲームユーザーだけではなく、ノンゲームユーザーへも伝えていきたい。7月15日から開催されるElectronic Entertainment Expo(E3)で、詳細を発表する『PLAYSTATION Network』(PSN)では、ビデオ配信サービスをはじめとする、新しいネットワーク機能を新搭載する」(平井氏)と明言した。
今まで、PS3をゲーム機と表現した時代は過ぎたようだ。PS3はソニーのゲーム部門という単なる一分野を越えて、ソニーのネットワークの家庭端末として存在価値を増している。というのは、ストリンガー会長のアップルへの対抗心を燃やした次の言葉だ。
米AppleもSTB「Apple TV」とiTunesを活用した映画のレンタルサービスを展開している。だがハワード・ストリンガー会長兼CEOは「AppleはSTBを売らなければならないが、われわれには1000万台以上のインストールベースがある」と自信を見せた。
(PS3を生活の一部に──新サービス「Life with PlayStation」)
つまり、アップルは「Apple TV」はこれから売っていかなければならないが、ソニーには1000万台のPS3が有ると言っているのである。
平井社長は2007年度のプレイステーションビジネスを振り返り、「2007年度の業績は赤字であったものの」となしながらも、PSPは2007年度下半期だけで全世界で918万台販売し、発売タイトル累計数は1834タイトルに。プレイステーション3については2007年度下半期の販売台数が723万台、発売タイトル累計数は475タイトルに及んだことを発表。「次世代クオリティーのタイトルの発売がさらに加速する」と、プレイステーションビジネスが堅調に推移していることをアピールした。
平井社長が今後のさらなる成長のための重要なカギとしてあげたのが、ノンゲーム(ゲームではないコンテンツサービス)とネットワークのふたつ。「すでにプレイステーション3、PSPを合わせて5000万台のネットワークレディーのシステムが普及している。このふたつのカギに着目し、ゲームだけでなくノンゲームコンテンツでインタラクティブエンターテインメントの世界を構築する」(平井)。(プレイステーション3に映画やテレビ番組を配信――ソニーの経営方針説明会)
アップルのこれからの計画については、アップル、マイクロソフト、次の一手(ホームサーバの戦い・第13章) で、アップルが目指す5年後のデジタルホーム--Forresterが予測をとりあげて、
2、動画ストリーム、音楽、写真を家庭内に配信するホームサーバ製品が、デジタルの「ハブとスポーク」方式のエコシステムとして機能する。
3、「AppleSound」ユニバーサル音楽コントローラがスタンドアロンの「iPod」として使われ、ホームステレオ専用アンプを通じて音楽と動画のコントローラとしても使われる可能性がある。もちろんタッチスクリーンを搭載し、Appleのホームサーバにアクセスしてインターネットにも接続できる。この機器は本質的に、リモコン装置、モバイルインターネットデバイス、統合されたデジタルホームAV/ITシステムへのゲートウェイの役割を果たす。
Apple TVについては、「Apple TVの衝撃 (家電屋VSコンピュータ屋、ホームサーバの戦い・第2章)」にも言及した。
そして、経営方針では、5つの取り組みが発表された。
ノンゲームの代表格として紹介された取り組みが以下の5つだ。
●ビデオ配信サービス
●PlayStation Home
●ゲーム内動的広告
●Life with PlayStation
●PSPのさらなるネットワーク化
ビデオ配信サービスはプレイステーション3、PSPに向けて、ゲームに加え、映画やテレビ番組を配信するというもの。映像はPLAYSTATION Network内のビデオストアで販売され、好きなときに好きな映像をダウンロードできる。使い勝手もよく、プレイステーション3のハードディスクにダウンロードしながら同時に再生もできるとか。今夏からアメリカでまずはスタートし、日本、欧州でも順次展開する予定。参入メーカーに関しての言及はなかったものの、サービスの詳細については来月7月にアメリカで行われるE3で発表するという。(プレイステーション3に映画やテレビ番組を配信――ソニーの経営方針説明会)
面白いのは、Life with PlayStationというサービスである。リアルタイムのCGで地球が作られるというのである。
PS3と大画面テレビでネットコンテンツを閲覧できるようにするもので、CGの地球は若干のタイムラグがあるものの、実際の地球上の雲を反映して描画しているという。地球を操作して各地に関連したニュースを表示したり、Webサイトを呼び出して閲覧するといったデモが行われた。
BGMを流すことができ、「リラックス」などの気分に合わせてHDD内の楽曲から自動的にプレイリストを作成してくれるという。「将来は動画や写真を場所別、時系列順に整理して閲覧できる機能や、コンテンツのダウンロード機能なども追加する」(平井社長)。開始時期などは今後アナウンスするという。(PS3を生活の一部に──新サービス「Life with PlayStation」)
一部、Google Earthとかぶるようなサービスである。わざわざ、地球のCGを持ってきたところで、ソニーのGoogleに対する対抗心が見て取れる。
ともかく、マイクロソフトのXbox360対策などは微塵も感じられない経営方針である。PS3がゲームというジャンルを飛び越え、アップルやGoogleを狙っているところに、ソニーがPS3を使ってソニー全体の総力戦を挑んでいることがひしひしと伝わってくる。
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