今週のお役立ち情報
植草事件の真相封じたねつ造ブログ−−ネットも支配する情報操作の闇−−(下)
【PJ 2008年06月27日】−
(中)からのつづき。
中傷も表彰も組織的関与が
今回の「ぐっちーさん」問題を唯一報じたメディアはインターネットニュース『J-CAST』だが、このニュース会社は2006年の事件直後から植草氏の支援ブログを攻撃してきた。「無実主張『ミラーマン』 ネットでは『手鏡に誓え』」「『物証』突き付けられてもまだ『ミラーマン支援』のなぜ」などの記事を載せ、起訴事実の正しさを擁護してきた。「ミラーマン」という言葉自体が思惑に満ちているだが、この言葉がマスコミの標準規格として流通しているところに、組織的な関与があることをうかがわせる。
『J-CAST』がブログねつ造問題を取り上げたのは、控訴審で有罪判決が出された後。役割を終え、同社の信頼回復につながる無害な記事といえる。他方、植草氏をそしる書き込みを始めた別の「アルファブロガー」もいる。この管理人は植草事件をえん罪としながら、陰謀論と氏の経済論を極度に否定している。植草氏のブログは、この管理人のプロフィールに管理人と木村剛氏との強い関係が明記されている点を指摘した。日銀出身の木村氏は金融担当相だった竹中平蔵氏の組織した金融再生プロジェクトチームのメンバーで、優良企業や銀行を破たんに追いやる資産査定の厳格化や繰り延べ税金資産の計上ルールの変更などを主張してきた。植草氏は当時からこれを批判するとともに、木村氏が中心となって設立した新銀行が異例の速さで金融庁に認可され、木村氏の関係する企業に多額の融資をしていることを指摘。りそな銀行救済に絡むインサイダー取引疑惑が濃厚に存在し、この問題にも木村氏が深く関わっていることを指摘し、これらの調査を求めてきた。
「ぐっちー」氏のブログが広く紹介されたのは、「アルファブロガー」に選ばれたことが大きい。同賞は民間人の組織する実行委員会が選定。主宰者の徳力基彦氏はインターネット広告会社の経営者であり、ブログ上の口コミによるマーケティングを展開している。事務局の1つとしているシックスアパート株式会社は、米国企業の日本法人である。この表彰制度についてアルファブロガー・アワードの公式サイトは次のように説明する。
「『米国では、影響力のある多くの読者に読まれているブロガーを“アルファブロガー”と読んで(ママ)いるらしい、では、日本にはそういった影響力のあるブロガーってどれぐらいいるのだろうか?』 。そんな疑問から始まったのがアルファブロガー投票企画です。初めてブログを始める人、また面白いブログを探しているけれど、どこで探せば良いのか分からない人、そんな方々に参考になるブログを、このアルファブロガー・アワードを通じてたくさん見つけていきたいと考えています」
この実行委員会が権力とどのような関係にあるか、わたしは知らない。しかし、なぜブログを格付けしなければならないのか。
世論誘導する完璧なシステム
こうした「優良ブログ」はマスコミと連動し、結果として植草事件の真相を封じ込めた。マスコミ記者は警察発表を基に記事を書く。「被害者」や取り押さえた男性との接触は許されない。余計なことを書けば、記者クラブから追い出される危険性がある。事件報道を疑いネット上をさまよう国民は、権威あるねつ造ブログにうそを吹聴される。さらに、反体制を装ったネットニュースに真実へのアクセスが妨害され、「やっぱり、やってたのか」と取り込まれる。
植草氏の支援ブログは2006年9月22日時点で面会の事実がなかったことを説明しているが、すべてのメディアが相手にしなかった。『J-CAST』などは「炎上」をあおっていた。ライブドアも植草氏に関する記事を掲載する際、Y・M氏の「いかにもな話」を必ず導入ページに張っている。植草氏が名誉棄損で民事訴訟を起こしていることに示されているように、週刊誌も根も葉もない情報を一方的に載せ続けた。
植草氏は著書『知られざる真実−−勾留地にて−−』(イプシロン出版)で、旧大蔵省の情報操作の一片を紹介している。1980年代、財政金融研究所の研究官として勤務していたときの体験談だ。間接税導入が成長率や個人消費などにプラスの効果がある作為的な試算をし、旧経済企画庁から発表させることになった。この工作を描いた極秘文書が共産党にわたり、国会で追及されたが、メディアは伝えなかった。世論に影響力のある政界・財界・学界の3000人をリスト化し、説得が繰り返されたという。週刊誌記事、テレビ発言、講演発言などがすべて検閲対象になった。メディア幹部には特別の対応がなされ、全国紙やテレビキー局幹部を集めて接待を繰り返し、主要出版社へも特別の働き掛けがあったと明かす。
財務省所管の公益法人に勤務したエコノミストの紺谷典子氏も、財務省の情報工作の実態を見てきた。公共事業削減キャンペーンが行われたのでないかと財務省に電話で問い合わせると、担当者はあっさり認めたという。ある講演会で語った内容によると、方針に従わない「悪いやつ」がいると、財務官僚が米国に情報をリークするという。
編集者はねつ造ブロガーの話をありがたく聞き、記者は警察・検察の発表を一生懸命文章にする。植草氏への悪印象が国民的規模で根付く一方で、起訴された事件は自動的に有罪へと処理されていく。判決はそれまでの記事を正当化する。この事態はマスコミ報道に従事する一個人の失策というより、世論を一定方向に導く完璧なまでのシステムができあがっていることをうかがわせる。
ブログの虚偽の書き込みという小さな事件は、メディア全体を大きな力が支配する現実を浮かび上がらせている。【了】
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『知られざる真実−勾留地にて−』
※この記事は、PJ個人の文責によるもので、法人としてのライブドアの見解・意向を示すものではありません。また、PJはライブドアのニュース部門、ライブドア・ニュースとは無関係です。
パブリック・ジャーナリスト 高橋 清隆【 神奈川県 】
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中傷も表彰も組織的関与が
今回の「ぐっちーさん」問題を唯一報じたメディアはインターネットニュース『J-CAST』だが、このニュース会社は2006年の事件直後から植草氏の支援ブログを攻撃してきた。「無実主張『ミラーマン』 ネットでは『手鏡に誓え』」「『物証』突き付けられてもまだ『ミラーマン支援』のなぜ」などの記事を載せ、起訴事実の正しさを擁護してきた。「ミラーマン」という言葉自体が思惑に満ちているだが、この言葉がマスコミの標準規格として流通しているところに、組織的な関与があることをうかがわせる。
『J-CAST』がブログねつ造問題を取り上げたのは、控訴審で有罪判決が出された後。役割を終え、同社の信頼回復につながる無害な記事といえる。他方、植草氏をそしる書き込みを始めた別の「アルファブロガー」もいる。この管理人は植草事件をえん罪としながら、陰謀論と氏の経済論を極度に否定している。植草氏のブログは、この管理人のプロフィールに管理人と木村剛氏との強い関係が明記されている点を指摘した。日銀出身の木村氏は金融担当相だった竹中平蔵氏の組織した金融再生プロジェクトチームのメンバーで、優良企業や銀行を破たんに追いやる資産査定の厳格化や繰り延べ税金資産の計上ルールの変更などを主張してきた。植草氏は当時からこれを批判するとともに、木村氏が中心となって設立した新銀行が異例の速さで金融庁に認可され、木村氏の関係する企業に多額の融資をしていることを指摘。りそな銀行救済に絡むインサイダー取引疑惑が濃厚に存在し、この問題にも木村氏が深く関わっていることを指摘し、これらの調査を求めてきた。
「ぐっちー」氏のブログが広く紹介されたのは、「アルファブロガー」に選ばれたことが大きい。同賞は民間人の組織する実行委員会が選定。主宰者の徳力基彦氏はインターネット広告会社の経営者であり、ブログ上の口コミによるマーケティングを展開している。事務局の1つとしているシックスアパート株式会社は、米国企業の日本法人である。この表彰制度についてアルファブロガー・アワードの公式サイトは次のように説明する。
「『米国では、影響力のある多くの読者に読まれているブロガーを“アルファブロガー”と読んで(ママ)いるらしい、では、日本にはそういった影響力のあるブロガーってどれぐらいいるのだろうか?』 。そんな疑問から始まったのがアルファブロガー投票企画です。初めてブログを始める人、また面白いブログを探しているけれど、どこで探せば良いのか分からない人、そんな方々に参考になるブログを、このアルファブロガー・アワードを通じてたくさん見つけていきたいと考えています」
この実行委員会が権力とどのような関係にあるか、わたしは知らない。しかし、なぜブログを格付けしなければならないのか。
世論誘導する完璧なシステム
こうした「優良ブログ」はマスコミと連動し、結果として植草事件の真相を封じ込めた。マスコミ記者は警察発表を基に記事を書く。「被害者」や取り押さえた男性との接触は許されない。余計なことを書けば、記者クラブから追い出される危険性がある。事件報道を疑いネット上をさまよう国民は、権威あるねつ造ブログにうそを吹聴される。さらに、反体制を装ったネットニュースに真実へのアクセスが妨害され、「やっぱり、やってたのか」と取り込まれる。
植草氏の支援ブログは2006年9月22日時点で面会の事実がなかったことを説明しているが、すべてのメディアが相手にしなかった。『J-CAST』などは「炎上」をあおっていた。ライブドアも植草氏に関する記事を掲載する際、Y・M氏の「いかにもな話」を必ず導入ページに張っている。植草氏が名誉棄損で民事訴訟を起こしていることに示されているように、週刊誌も根も葉もない情報を一方的に載せ続けた。
植草氏は著書『知られざる真実−−勾留地にて−−』(イプシロン出版)で、旧大蔵省の情報操作の一片を紹介している。1980年代、財政金融研究所の研究官として勤務していたときの体験談だ。間接税導入が成長率や個人消費などにプラスの効果がある作為的な試算をし、旧経済企画庁から発表させることになった。この工作を描いた極秘文書が共産党にわたり、国会で追及されたが、メディアは伝えなかった。世論に影響力のある政界・財界・学界の3000人をリスト化し、説得が繰り返されたという。週刊誌記事、テレビ発言、講演発言などがすべて検閲対象になった。メディア幹部には特別の対応がなされ、全国紙やテレビキー局幹部を集めて接待を繰り返し、主要出版社へも特別の働き掛けがあったと明かす。
財務省所管の公益法人に勤務したエコノミストの紺谷典子氏も、財務省の情報工作の実態を見てきた。公共事業削減キャンペーンが行われたのでないかと財務省に電話で問い合わせると、担当者はあっさり認めたという。ある講演会で語った内容によると、方針に従わない「悪いやつ」がいると、財務官僚が米国に情報をリークするという。
編集者はねつ造ブロガーの話をありがたく聞き、記者は警察・検察の発表を一生懸命文章にする。植草氏への悪印象が国民的規模で根付く一方で、起訴された事件は自動的に有罪へと処理されていく。判決はそれまでの記事を正当化する。この事態はマスコミ報道に従事する一個人の失策というより、世論を一定方向に導く完璧なまでのシステムができあがっていることをうかがわせる。
ブログの虚偽の書き込みという小さな事件は、メディア全体を大きな力が支配する現実を浮かび上がらせている。【了】
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