社名変更について話す大坪文雄社長。株主総会の様子はモニターで報道陣に公開された=26日午前、大阪市中央区、川村直子撮影
松下電器産業は26日、大阪市内で株主総会を開き、10月に社名を「パナソニック」に変更する議案が承認された。故松下幸之助氏が、松下電気器具製作所を設立して今年で90周年。「経営の神様」といわれた創業者の名前が社名から姿を消す。
「松下」「ナショナル」「パナソニック」と三つに分かれていたブランド名も、09年度中をめどにパナソニックに統一する。松下電工がパナソニック電工になるなど、約120ある子会社や関連会社も社名を変更する。中国の関連企業については、英文での登記が認められていないため、当面、松下の名前を残す方針だ。
株主総会で大坪文雄社長は「グループ社員のすべての成果をパナソニックの名前の下に結集し、さらに強いブランド力をグローバルに築いていく決意だ」と社名変更の理由を説明、株主の理解を求めた。株主からは社名変更に関する意見や質問は出ず、賛成多数で変更が認められた。
松下の創業は、当時23歳の幸之助氏が1918年、大阪市北区(現福島区)にソケット製造販売の松下電気器具製作所を設立したころまでさかのぼる。33年に本社を大阪府門真市に移転、35年に社名を現在の松下電器産業に変更した。
戦後の高度経済成長で人々の生活が豊かになったことも後押しし、松下は日本を代表する総合家電メーカーに成長した。しかし、最近は成長市場である海外のブランド力が、ライバルのソニーや韓国・サムスン電子に後れをとっていた。このため、真の国際企業を目指すとして、社名変更とブランド統一を今年1月に発表していた。