山陽新聞社など加盟の日本世論調査会が今月上旬に行った北京五輪などについての全国世論調査の結果が、二十二日の朝刊一面に掲載された。男女を通じて最も期待度が高かったのは断トツで競泳男子平泳ぎの北島康介選手。二大会連続二冠の偉業達成なるかが、五輪での国民の最大関心事ということになるだろう。
本番で日本競泳陣がどのような泳ぎを見せるか、着用する水着の話題性の高さからも、過去の大会以上に注目を集めている。北島選手を含む日本選手の大半がレースで着用するとみられるのが英スピード社の“高速水着”。これを着た選手から日本記録が続出したこともあり、日本水泳連盟は十日、国内三社との契約に縛られず、選手が自由に水着を選択できるとした。この決定が出るまでの一カ月半、水着をめぐる騒動は社会的にも関心を呼び、マスメディアも大きく取り上げてきた。
それにしても、競泳は用具の性能があまり影響しない競技と思っていただけに、水着によるタイム差の大きさには驚くばかり。一方で、今回の水着騒動を見ていて考えさせられたのは、競技の公平性という点だ。
さまざまな理由から、五輪でこの高速水着を着用しない(できない)国の選手もいるだろう。参加するどの選手も、同じ条件下で競うことができる、等しく用具を選択できるということでない限り、厳密な意味でいえば不平等なような気もする。世界最高の舞台での結果に今後の人生が懸かっている選手たちにとって、規定違反でない限り、少しでもいい用具を使うことは当たり前のことなのだが。
(社会部・南條雅彦)