振り込め詐欺による被害が今年、大幅に増加している。警察庁の一―四月のまとめでは約百十一億円と、年間で過去最多だった二〇〇四年の約二百八十四億円を上回る勢いという。
増えているのが「還付金詐欺」という手口で、約二十四億円に上る。親族などになりすます「おれおれ詐欺」とは異なり、税務署や社会保険事務所の職員を装い、税金や年金の還付金があるなどと持ちかけてくる。携帯電話で現金自動預払機(ATM)の操作を指示し、現金をだまし取る。
「おれおれ詐欺」同様、被害に遭うのは高齢者が多い。年金記録不備問題や後期高齢者医療制度など年金、医療をめぐる不安が高齢者の間に広がっている。そこにつけ込んだ卑劣な犯罪といえる。
振り込め詐欺の被害金を返還するための新法が二十一日に施行された。犯罪に使われた口座の入出金は警察などからの連絡で凍結され、その残金を被害額に応じて配分する。
ただし、口座の凍結前に犯罪グループによって大半が引き出されているケースが多く、返還されるのは被害額の一部にとどまる可能性が高い。とにかく詐欺にひっかからないことだ。
警視庁のホームページでは「携帯電話を持ってATMへ、と言われたら還付金詐欺です」と注意を促す。まずは身内から徹底したい。