6月26日、Jパワーの定時株主総会で、年間配当を1株当たり70円とすることや中垣社長(写真)ら取締役13人の選任など会社側が提案した3議案全てが賛成多数で可決・承認された。昨年6月撮影(2008年 ロイター/Issei Kato) |
[東京 26日 ロイター] 電源開発(Jパワー)<9513.T>は26日、都内で定時株主総会を開き、年間配当を1株当たり70円とすることや、中垣喜彦社長を含む取締役13人の選任など会社側が提案した3つの議案全てが賛成多数で可決、承認された。
筆頭株主の英投資ファンド、ザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンドは、会社提案を上回る配当額や株式持合いの制限などを求め株主提案を行ったが、全て否決された。公益企業における株主還元の水準や企業統治のあり方を巡り注目を集めた対決は、経営側に軍配が上がった。
Jパワー株の9.9%を保有するTCIは、今回の株主総会で、1)年間配当を120円か80円、2)株式持合いを制限するため株式投資の総額の上限を50億円とする、3)社外取締役を3人以上追加する、4)自社株買い枠700億円を設定──の株主提案を行った。また、中垣社長の再任に反対するとしていた。
総会にはTCIアジア代表のジョン・ホー氏が出席し、会場で「『株主重視の経営』と『経営陣の説明責任』の2点で、Jパワーの現経営陣の姿勢は十分でない」と株主提案を行った理由を述べた。
その上でホー氏は、1)配当水準が同業他社に比べ半分程度、2)持ち合い株式は2007年度において150億円分下落、3)現経営陣の仕事をチェックするには社外取締役の導入が必要、などと指摘し、出席株主の賛同を求めた。ただ、書面やインターネット等による前日までの議決権行使を含め、TCI側の全提案は必要な賛成票を得られなかった。TCIは昨年の株主総会でも、会社側の年間配当60円の提案に対し、130円を提案したが否決された。
TCIのホー氏は総会終了後、記者団に対し、「過去4年間、Jパワー経営陣が意図的に築き上げてきた株式持合いにより、今回の結果が歪められた」と語り、Jパワー経営陣を非難した。今後もJパワー株の保有を続けるかどうかについて、ホー氏は明言しなかった。
総会後、中垣社長は記者会見で、配当に関する会社提案は、議決権を行使した株主のうち「60%を超える賛成があった」と明らかにした。今後もTCIが株の保有を続けるかどうかについては、「情報はないが、今後も保有を続けるなら、長期の投資回収という当社の特性を理解してもらいたい」と注文をつけた。TCIとの2年越しの対決を通じて、「大変な時間とエネルギーを使ったが、随分勉強になった。説明責任や透明性を高める契機にしたい」と語った。
Jパワー側の説明によると、TCIが提案した議案に賛成した割合は、年間配当120円で30%弱、同80円で30%強、株式持合いの制限は20%台、社外取締役導入は30%台、自社株買い枠設定は30%未満だった。
(ロイター日本語ニュース、浜田 健太郎)
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