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老齢加算廃止は合法 生存権侵害は認められず
このニュースのトピックス:刑事裁判
生活保護制度の見直しに伴い、70歳以上に支給されていた「老齢加算」を廃止したことは、「生存権」を保障した憲法に違反するとして、東京都内の73〜84歳の高齢者12人が、墨田区や青梅市など居住する自治体7区3市に廃止決定の取り消しを求めた訴訟の判決が26日、東京地裁であった。大門匡裁判長は、老齢加算廃止を合法と認め、原告の訴えを退けた。
京都や神戸など全国8地裁で係争中の同種訴訟で初めての司法判断で、今後の訴訟に影響を与えそうだ。
老齢加算は、70歳以上の生活保護受給者に一定額を加算支給する制度で、昭和35年に創設。高齢者には消化の良い食品や暖房などが必要として、生活保護費に上乗せして月額約1万8000円が支給されていた。しかし、厚労省は省内の専門委員会の提言を受けて、18年度から廃止した。
裁判は、老齢加算廃止の違憲・違法性が争われた。高齢者側は、廃止によって食費を切りつめるなど節約を強いられており、「最低限度の生活を保障した生存権を侵害された」と訴えていた。「廃止には正当な理由がなく、不利益変更を禁じた生活保護法に違反している」とも主張していた。
一方、自治体側は、生存権侵害の主張に「原告らは老齢加算廃止後も一定限の生活水準を保っている」と反論。「廃止は十分に審議した上で決定されており、裁量権の乱用には当たらない」と違法性も否定していた。