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かすむ「拉致」福田政権打つ手なし 北朝鮮のテロ指定国家解除へ
このニュースのトピックス:北朝鮮拉致事件
北朝鮮が26日に核計画を申告し、米政府は直ちにテロ支援国家指定を解除すると発表したことで、日本としては日本人拉致問題解決への有力なカードを失い、大きな痛手となった。町村信孝官房長官は26日夜、首相官邸でハドリー米大統領補佐官と電話で会談し、北朝鮮のテロ支援国家指定解除について「日本国民はショックを受けている」と伝えた。自民党内には、北朝鮮政策で「圧力」より「対話」を重視する福田康夫首相の外交姿勢に、拉致問題解決が遠のくとの悲観論も頭をもたげ始めている。(今堀守通)
首相は26日夕、首相官邸で「指定解除は日朝交渉を進めるテコを失うことにならないか」とする記者団の質問に「まったくそういうようには考えていない」と強調した。また、「(日米が)緊密に連絡を取り合うことが非核化実現に必要だし、核問題も解決できる道が開ける」とも述べ、米国の協力も得ながら先の日朝実務者協議で合意した「再調査」を早急に実施に移していく考えだ。
25日夜、ブッシュ米大統領は首相公邸にいた首相に電話し、「自分は拉致問題を決して忘れない。日本の懸念は十分理解しており、日本と引き続き緊密に協力していきたい」と語ったものの、拉致問題の前進が何ら担保されないまま、指定解除の手続きが始まるのは事実だ。大統領の任期も半年しかなく、政府関係者は「ライス国務長官は北朝鮮の核問題前進を『成果』だと強調する方針に変更はないだろう」と語る。
「交渉がなければ(拉致問題は)、解決しないだろう」と語る首相。だが、自民党首脳は「米国は勝手なことをする。クリントン政権の失敗を繰り返そうとしている。米国にきちんと言わないといけない」と首相の姿勢に不快感を示した。