タイノエ

バックの一目盛は5ミリです。

タイノエ : Rhexanella verrucosa (Schioedte et Meinert)

 料理屋た○○さんから頂いたタイノエです。タイノエはタイなどの口中に寄生する等脚類(ダンゴムシ、フナムシの仲間)です。名前もそこから付いたのでしょう。魚に寄生して暮らす等脚類は他にもいろいろいるようですが(サヨリにくっつくサヨリヤドリムシ: Mothocya sajori Bruceなんかも有名ですね。)、産まれた子供はどうやって新しいホストを見つけるんだろう? - 泳いで他の魚にとりつくか魚の産卵と同時に産まれて稚仔魚にとりつくのか? - 生活史を調べてみると(すごく困難ですが)面白いでしょうね。

 両方とも体長は5センチほどですが、50センチ程度の赤ムツの口に寄生していて、しかもまだ生きていたというのが驚きです。た○○さんは調理場にて素早くこれを取り出し、70%アルコールにて固定(なんでそんなモノ持ってるんだろう?)したそうです。普通アルコール固定したサンプルは急速に色が抜けて白色になりますが、こいつらは生きているときから白かったそうです。ホストの魚が深海性なので色がないのでしょう。右側は足の間がほんのり赤みを帯びて膨らんでいるので、抱卵しているのでしょうか。一方左側のはお腹スッキリでかわりにしっぽが大きいです。オスでしょうか?

肢の先端部はこのように鈎状になっており、ホストの体にガッチリとりついています

 

頭部です。目はほとんど退化してしまっているようです。これも必要ないモノだからでしょう。

オスの胴体をまっぷたつに切ったところ。なにやら細かな黄色い物質が充満している。精子にしては量が多いので、卵巣が未発達なメスかもしれない。

右側の個体を同様に切ってみたら、中からバラバラと卵が出てきました。

卵は短径0.8ミリ、長径1.2ミリほどの米粒のようなカタチをしています

たまごを切ってみたところ。中身は不定形の油滴などで、まだ未発達だったようです。


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