サンティアゴよりIWC第一報
皆さんはじめまして。 
私はグリーンピース・ジャパン海洋生態系問題の花岡と申します。 
 
このたびはグリーンピースの代表団の一員として、第60回国際捕鯨委員会(IWC)にオブザーバー参加するため、地球の反対側にあるチリのサンティアゴまで来ています。IWC総会で日本の調査捕鯨の問題解決をするために発言していくことで、矛盾だらけの調査捕鯨の見なおしに貢献できればと強く願い、チリからこの「佐藤のくじラブ・ブログ」の場を借りてお伝えしていきたいと思います。 
 
サンティアゴに到着して二日目の夜中、グリーンピース・ジャパンの事務所で活動を共にしてきた佐藤潤一と鈴木徹の二名が逮捕され、オフィス及び関係者の家が家宅捜査を受けたこと、そしてその直後に、私たちが告発した日新丸乗組員による鯨肉の職務上横領が不起訴となったことを知り、ショックを受けました。日本ではこの逮捕や家宅捜査の様子が執拗に報道されたこと、そして公的事業の調査捕鯨の悪をあばいた善良な市民である二人が悪者扱いにされ、現在も拘留されている事実に、胸が張り裂ける思いです。 
 
あまりにも大げさなこの不要で不当な逮捕と家宅捜査、そして不起訴の一連の動きに、私は非常に強い国内の政治的圧力を感じています。このブログを読んでいる多くの方々も、きっと同様に何か変だと胸に突っかかるものを感じているのではないでしょうか。 
 
本件におけるグリーンピース・ジャパン事務局長星川淳による声明はこちら 
 
IWC年次総会は23日の月曜日から始まり、多くの条約締結国の代表団が顔を揃えています。先週までは、年次総会が円滑に進むようにその進行方法を決める会議が、年次総会と同じ会場で行われていました。日本での不当逮捕はその最中に起きたことで、そのニュースは即日ホガース議長や他国の代表団に伝わっています。 
日本代表団の席は議長や理事長の正面、会場の中心に準備されており、他国の代表団に囲まれる形です。クジラ保護を掲げる国のコミッショナーは、日本の代表団は例年に無く静かで守りの姿勢が見て取れると言っていました。国際会議の場にいる日本人として、IWC日本代表や交渉官は肩身の狭い不本意な思いをされていることと思います。私はそんな日本の立場が、情けなく嘆かわしく思われます。 
この不当逮捕は、もうクジラを殺すか殺さないかの意見の違いの域を超えて、G8開催を目前に控え国際的信頼度の回復の仕方を間違えてしまった日本政府の大きな失態として国際社会に映っています。 
二人の職員の一刻も早い釈放が世界的に求められています。釈放を求めるオンラインのメッセージは10万を超えようとしています。IWCの79ヶ国の代表団中、日本の代表団にとって、共同船舶や日本鯨類研究所の組織的な鯨肉横領の問題を抱えながらの、難しい年次総会幕開けとなってしまいました。現場の雰囲気を味わう者として、日本代表団が捕鯨問題を国際的にきちんと話し合うためにも、青森県警はグリーンピースの職員を即刻釈放する必要があると強く感じています。
IWC会場に集まった「オーシャンディフェンダー」の子供たちとメッセージ。 (c) Greenpeace 
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hanaoka at 
14:03
 
 
「横領鯨肉」ニュースNo11 逮捕、IWCそしてG8へ
「横領鯨肉」ニュースNo11 逮捕、IWCそしてG8へ
残念ですが、横領鯨肉ニュースはこのNo11でしばらくはお休みになりそうです。
昨夜のニュースで、青森県警が私たちを逮捕するというニュースが流れたからです。
今まで公言してきたように、私は自分たちで行なったことへの捜査、そして日新丸の船員の鯨肉横領に関する捜査の両方に積極的に協力しようと思っています。
これまでも、私たちへの窃盗容疑については、5月27日の段階でその経緯について自ら書面にして青森県警の要請もないうちに報告するなど、積極的に捜査に協力してきました。
これからもその方針は変わりません。
私たちが、日新丸の船員が鯨肉を横領していると東京地方検察庁に告発してから一ヶ月以上が経ちました。この間に多くの人から、激励の言葉、お叱りの言葉をいただいています。船員による鯨肉横領についてさらなる事実を知っているという方からも連絡をいただきました。
私にとって、すべての意見が貴重です。これからも様々なご意見をお待ちしています。
その中で、横領鯨肉の実態を知れば知るほど、天下り官僚が税金100億円をもらって継続している調査捕鯨には深い腐敗があるんだなーと実感しました。
そんな腐敗が見えてきたときに逮捕の報道になったわけです。
私は、今回のことを機に私たち日本人がこの調査捕鯨について冷静に考え直すきっかけになってほしいと思っています。
確かに、捕鯨問題は医療制度などに比べて一般的に語られる問題ではありません。そして語られるときには、「西洋人に、クジラを食べるななんて言われたくない」「捕鯨は日本の文化だ」という安易な議論になりがちです。
そんな単純化された議論の影で、腐敗が居心地良く育つ土壌ができてしまっていたのではないでしょうか?
私たちは、納税者として、調査捕鯨に貴重な税金を使う必要があるかどうかを国内問題として考えるべきだと思います。ましてや一部の人間が得をするだけの事業です。
私は、この鯨肉横領について、いままで関わっていた人たちの心に訴えたいです。
このまま黙っていて良いのですか?
知っている人はたくさんいるはずです。
6月11日には、この調査捕鯨で捕れた鯨肉をふんだんに使って、永田町で国会議員を招いた豪華鯨肉パーティーが行なわれました。「調査」が本来の目的である捕鯨で、その決起集会で貴重な鯨肉をたらふく食べるなんてことをしていて良いのでしょうか?
産経新聞
第21回捕鯨の伝統と食文化を守る会(11日、東京都千代田区永田町の憲政記念館)
来週から開催される国際捕鯨委員会の場で、日本の調査捕鯨が大きな争点となります。ここでの日本政府の動きに注目です。
日本が、世界各国と共に南極の海を守ることができるのか。今年が注目の年になることは確実です。
私は、日新丸をはじめとする乗組員の皆さんが、その知識とノウハウを活かしてクジラを殺さない非致死的な鯨類調査に参加することが、ポジティブな解決策を見出すことにつながると思っています。地球温暖化の影響も含めた海洋調査を南極で行なうこと、これをG8までに打ち出すのはいかがでしょうか、福田首相?
日本が、本当に環境先進国としてリーダーシップをとりたいのなら、捕鯨という国際摩擦になっている問題を、国際協調の要素に変えられる、そんな外交をお願いします。
それでは、これから捕鯨問題の本質の議論が進むように、ぜひご協力お願いします。
この機会に、すべての「横領鯨肉ニュース」をこの機会に読み返していただければ幸いです。
私は東京地検の捜査を信じ、真実が明らかになることを願います。
グリーンピース・ジャパン
佐藤潤一
	
 
I Love SUSEA
I Love SUSEA
今日は、鯨の話題から離れて漁業の話題を少し。
燃料代の高騰で、漁業者が船を出せなくて困っているというニュースを聞かれた方も多いと思います。
お刺身が大好きな私にとっても、日本の魚食文化の継続については環境破壊をしない方法で、末永く続けていく方法を漁業者や科学者の方々と一緒に見出していきたいと思っています。
(商業船が燃料代が高くて船がだせないのに、捕鯨船は南極までいきますが…。)
しかし、魚が減っているということとともに、燃料代の高騰という間接的な社会問題がこのような形で漁業に影響を与えているというのも問題の深刻さを示唆していると思います。つまり、地球規模の対策と地元での対策が有機的にリンクする方策を見出さないといけないということになるわけです。
そこで、グリーンピース・ジャパンでは、漁業をまもり、次世代までおいしい魚を食べ続けることができることができるように考えるシンポジウムを開催します。
このシンポジウムでは、世界的に有名な水産学者のダニエル・ポーリー博士や、元水産庁の小松正之博士などが世界そして日本の漁業、海の生態系の保護について講演し、私たちになにができるかを考えていきます。
もちろん、小松正之博士は捕鯨推進の方ですが、捕鯨での意見の違いを超えて深刻な日本の漁業をどうするのかを真剣に考えることができればと思っています。
開催は10月17日と18日 国連大学で行ないます。
お申し込みは以下のバナーをクリック
ぜひご参加ください。

ちなみに“I love SUSEA”のSUSEAは“SUstainable SEA(持続可能な海)”の略です。
	
 
「横領鯨肉」ニュースNo.10 商業捕鯨再参入を水産大手3社が否定
「横領鯨肉」ニュースNo.10 商業捕鯨再参入を水産大手3社が否定
6月13日の朝日新聞に興味深い記事が掲載されていました。
商業捕鯨再参入、水産大手3社は否定 「良いことない」
大手3社とは、もともと商業捕鯨の中核企業だったマルハニチロホールディングス、日本水産、極洋の3社。この3社がもう商業捕鯨には戻らないということは、少なくとも南極での遠洋捕鯨に参入する私企業はほぼなくなったと考えてよいでしょう。
それでも、「商業捕鯨の再開を!」と高くこぶしを振り上げて税金を費やし南極に調査捕鯨団を送っている日本のやり方には違和感を感じます。
いったい「調査捕鯨」は誰のためなのでしょうか?
今話題の共同船舶株式会社は、これら3社の捕鯨部門が統廃合されてスタートしているわけですから、現在の調査捕鯨の生みの親でもあったわけです。
2006年に私も日本水産を訪問して取締役の方とお話しました。その際にも、昔からの付き合いだけで共同船舶の株を保有しているんだとおっしゃっていたのが印象に残っています。
その後、同年この3社はそれまで持っていた共同船舶の株を財団法人5団体に無償で譲渡して、捕鯨とはきれいさっぱりお別れを告げたのです。
まだお付き合いで、共同船舶に船員が足りないときには関連企業から船員を送っているという噂もありますが…。
最後に、せっかくですから共同船舶の株がその後どこに譲渡されたのかも確認しておきます。
現在の共同船舶の株主は以下の5財団法人と共同船舶役員です。
1、財団法人 下関海洋科学アカデミー  1112株
2、財団法人 日本鯨類研究所       1112株
3、財団法人 漁船海難遺児育英会    1112株
4、財団法人 全日本海員福祉センター  1112株
5、財団法人 農林水産奨励会       1112株
6、共同船舶 役員                170株
1の財団法人下関海洋科学アカデミーの理事長は現下関市長の江島潔氏。私も前回のIWCでお会いしました。今回もチリで開催されるIWCに行かれるのではないでしょうか?
2の日本鯨類研究所はもちろん共同船舶に仕事を委託している調査捕鯨の主体。
3の漁船海難遺児育英会の理事長は鈴木俊一衆議院議員。自民党捕鯨議員連盟の会長でもあり、鈴木善幸元総理大臣の息子さんです。鈴木善幸元総理大臣と言えば、農林大臣だったときに商業捕鯨が全盛期だった方で、捕鯨を強力に推進された方としても有名です。
4の財団法人全日本海員福祉センターの会長は共同船舶の船員さんたちが加入する全日本海員組合の組合長。
5の農林水産奨励会の理事には非常勤で共同船舶の社長である山村和夫氏が名前を連ねています。
より捕鯨推進の身内で株を持つようになったと言えるでしょう。