|
ここから本文エリア 「留年のみ原因といえず」停職に処分修正2008年06月26日
女子学生(当時20)の自殺の責任を問われて懲戒免職処分を受けた高崎経済大学(吉田俊幸学長)の男性准教授(39)の不服申し立てに対し、高崎市等公平委員会(和田徹委員長)は25日、留年を通告した准教授のメールだけが自殺の原因ではないとして、懲戒免職処分を6カ月の停職処分に修正する裁決を出した。准教授の指導方法についてはアカデミックハラスメント(教員の地位を利用した嫌がらせ)と認定する一方、結論では自殺との因果関係に言及しなかった。 女子学生が自殺したのは07年1月で、責任を問われた准教授は同年4月に懲戒免職処分にされた。焦点となった自殺の原因について、裁決は「留年を通告した准教授のメールだけをもって自殺の原因と認めることはできない」としながら、「能力以上の宿題を出し、『留年』という言葉で宿題の提出を求めたことは、学生の大きな精神的な負担になったと判断することができる」と指摘した。 懲戒免職が撤回されたことを受けて記者会見した吉田学長は「学生を預かる立場から懲戒免職としたが、裁決の内容を精査し、大学として、准教授に対し謝罪すべき点があれば謝罪したい」と述べた。准教授の指導方法がアカデミックハラスメントと認定されたことについては、「再発防止に取り組んできたが、なお一層努めたい」と話した。 同大は昨年4月、アカデミックハラスメントに限らず、セクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)などすべてのハラスメント防止に関する規定を設け、教職員を対象に研修会を実施しているという。 准教授は代理人の弁護士事務所で会見し、「大学の研究環境に戻れることを素直に喜びたい」と語った。半面、過重な宿題など指導方法がアカデミックハラスメントとされたことについては、「(課題の出し方などについて)教授の自由を保障しなければ、学生の顔色を見ながら講義しなければいけなくなる」と不服を表明した。 裁決で停職6カ月とされた処分そのものの撤回を求めて、行政訴訟を起こすかどうかは、「弁護士と相談したい」と、今後の対応に含みを持たせた。 一方、自殺した女子学生の父親(50)は「(裁決の)内容は予想していたが、娘が自殺した原因は、准教授の留年通告メール以外には思い当たらない」と語った。懲戒免職処分から、停職期間の6カ月の2倍以上にあたる1年2カ月余りがたっているため、実質的に26日から復職する准教授については、「教育者として戻してほしくなかった」。ただし、今回の裁決を受け入れ、今後訴訟を起こす考えがないことを明らかにした。 大学側は、准教授が講義やゼミナールを担当するかどうかは、教授会と本人との話し合いで検討するというが、今年度はすでにカリキュラムが決まっており、早くても来年度からになるとの見通しを明らかにした。 マイタウン群馬
|