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シリア・北朝鮮の核協力 米政府、「証拠」ビデオ公開

2008年4月26日1時0分

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写真米政府が24日、シリアで建設中だった当時の原子炉として示した写真(撮影日不明)=ロイター 写真米中央情報局(CIA)が24日、シリア東部の秘密原子炉だとして示した施設(撮影日不明)=AP 写真米政府が24日示した、北朝鮮にある原子炉(左)とシリアで建設中だった施設の写真(撮影日不明)=ロイター写真シリアと北朝鮮の核施設関係高官が並んで撮影したとして、米政府が24日公表した写真(左)。同じ北朝鮮高官が6者協議に出席していたとしている(右)=ロイター

 【ワシントン=梅原季哉】北朝鮮によるシリアへの核協力を認定した米政府は24日、イスラエルが昨年9月に破壊したシリア東部の施設の詳細なスライド映像などを米主要メディアに公開した。北朝鮮の反発も予想され、北朝鮮による核計画の申告がさらに遅れれば、停滞している6者協議の行方は一層不透明になりそうだ。

 ブッシュ政権は北朝鮮による核拡散を認定したうえで、完全な申告が得られれば北朝鮮へのテロ支援国家指定を解除する方針を崩していない。開示には解除に向けて議会の理解を得ておく狙いもあると見られる。だが、米国内の対北朝鮮強硬派が勢いづくとの見方もあり、強硬派から「弱腰」と受け止められることを嫌って、解除により慎重に取り組む可能性がある。

 米国が北朝鮮による核拡散を認定したシリアは、米国と緊密な協力関係にあるイスラエルと敵対している。レバノンの武装組織ヒズボラやパレスチナの過激派ハマスなどを支援しているとして米国のテロ支援国家にも指定されている。指定解除をする際、議会の承認は手続き上必要ないが、議員らがテロ支援国家間のつながりに懸念を強める可能性もある。

 ビデオは、静止画像が連続する構成のスライドショー形式で公開された。

 最も目を引く内容は、何者かが撮影した、建設中の原子炉の複数の写真だ。原子炉棟の内部で撮影したとみられる一枚は、丸い管が多数、垂直方向に整然と並んでいる。原子炉上部にある、燃料棒と制御棒を入れる管で、その周囲にコンクリートが注入されるより前の段階だという。

 ビデオは、この写真の横に、同様の管の口が開いている北朝鮮・寧辺の原子炉上部の写真を並べて表示。ナレーションで「我々の分析では、シリアの原子炉は北朝鮮のものと似た規模・能力だ。過去35年間にこのようなガス冷却黒鉛減速炉を建設したのは北朝鮮だけだ」と指摘した。

 青いジャージー姿の東洋人と、中東系の男性が寄り添った記念写真も示した。米メディアに説明した複数の米高官らによると、ジャージー姿は北朝鮮の再処理工場の責任者とされるチョン・チブ氏だとし、6者協議に出席している際の別の画像と並べた。もう一人はシリア原子力委員会のトップで記念写真は同国内で撮影されたという。

 米プローシェアーズ財団理事長で核問題の専門家シリンシオーネ氏は「情報提示自体には説得力がある。こうした原子炉を平和利用で建設することは、極めて考えにくい」と認める。だが、仮に真実だとしても「シリアの原子炉が稼働直前で、イスラエルが攻撃しなければならない切迫した脅威だったことの証明にはならない」とみる。

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