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食料価格急騰の犯人

2008年6月26日

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 食料価格の世界的な上昇が続いている。コメ、小麦、大豆など主要穀物の価格は、この1年で2〜3倍となった。それ以前の上昇率(年平均10%程度)と比べると、最近の急騰は異常である。

 食料価格は、なぜ急騰しているのか。新興国の高成長や、それに伴う生活水準の上昇、食生活の変化による需要の増大が指摘される。実際、牛肉などの需要が増えると、家畜飼料の原料となる穀物需要は大きく高まる。バイオ燃料促進策が、トウモロコシや大豆の価格を押し上げている可能性もある。

 しかし一方で、それらは、以前から食料価格を持続的に上昇させていたはずである。だとすると、この1年の異常な価格急騰は、他の要因によって説明されなければならない。

 それが「懲りない投機」ではないかと、筆者は考える。食料需要増大というトレンド、需要増に追いつかない生産(作物収穫までには一定の期間が要る)、天候不順や洪水による不作、新興国の輸出禁止・輸入促進策によって醸成された価格上昇期待をみて、サブプライム危機によって行き場を失った投機資金が食料品市場になだれ込み、価格を大きく押し上げ、さらなる上昇期待を生む、というスパイラルが生じているのではないか。その結果、食料価格は、世界需要の基調的増大というファンダメンタルズを大きく超えて上昇しているのではないか。

 バブルが起きるときには、もっともらしい理由が指摘された。日本では土地神話で、米国では住宅ブームと金融技術革新だった。今回も、もっともらしい理屈をまとった懲りない投機家が引き起こしているバブルだとしたら、その反動がいずれ起きることを、われわれは念頭に置くべきだろう。(山人)

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