はじめに
日本人がシャンプーを使いはじめたのは、30〜40年前のこと。それまでは、洗浄力の良くない固形石鹸で、ゴシゴシと髪を洗うことが一般的でした。
この「ゴシゴシ」の歴史が長かったために、いまでも私たちの洗髪方法は、なんとなく変で、どこかアカ抜けないのです。
髪を洗ってアカ抜けないとは、これいかに。まちがった洗髪が、髪を傷めたり、フケや抜け毛の原因になることもあります。
美しく健康な髪を保つため、まず 髪に関する正しいノウハウを、身につけておきましょう。
- 髪の毛は、人間の体でもっとも汚れやすい場所。表面積が大きいために、空気中の埃や花粉、排気ガスの粒子、細菌類、フケ、皮脂、整髪料などが、べったりと表面にくっついています。
- 髪を洗う前には、軽くブラッシングを。頭皮に適度な刺激が加わり、髪の表面についたさまざまな汚れも、はがれやすくなります。

- シャンプーをつける前には、髪にお湯をたっぷりと。髪全体にお湯がいきわたっていないと、シャンプー剤の泡立ちが悪く、汚れもよく落ちません。
- 実はお湯だけで、髪の汚れの6割は洗い流せます。特に、埃や花粉のような水性の汚れは、お湯だけで十分なのです。
- シャンプー剤は、適量を手にとり、手のひらでよく泡立てましょう。髪に直接シャンプー剤をつける人がいますが、泡立ちが悪いうえ、髪や地肌にダイレクトに濃度の高い洗剤がつくので、傷みの原因にまります。
- シャンプーは2度洗いがベターです。1回目は泡で髪を包む感じ。2回目は頭皮のマッサージのつもりで。爪を立ててゴシゴシ洗うと、頭皮や毛根に傷がつき、かえってフケが出やすくなってしまいます。指の腹で頭皮をもみほぐすように、マッサージする感覚です。

- シャンプーで意外と重要なのがすすぎです。シャンプー剤には洗剤以外に、色素や香料、殺菌剤などが含まれていて、すすぎが不十分だとこれらの成分が残ってしまいます。かぶれを起こしたり、かえってフケが多くなったり。
- 髪についたシャンプー剤のぬるぬる感が消えたあとも、念のためにもう1、2回すすぐくらいが良いでしょう。

- 髪は、頭皮から分泌される皮脂が、天然クリームになってまもられています。シャンプーをすると、汚れと一緒に皮脂まで洗い流すため、リンスやコンディショナー、トリートメントなどで、髪を保護する必要があります。
- リンス剤には、髪の表面にオイル分を補給したり、保湿力を高めたり、髪や地肌を弱酸性にもどすなど、いくつもの働きがあります。リンスを忘れると、シャンプー剤で髪のPh値がアルカリ性に傾いて、パサパサになってしまいます。
ところで、よくリンス剤の後ろには「軽く洗い流す」と書かれてしますが、どの程度を「軽く」というでしょうか?
- 一般的には、シャワーで20秒ほどサッと洗い流せば十分。頭皮が脂性でベタベタする人は、もう少し洗い流した方が良いでしょう。でも、完全に洗い流してしまうと、せっかくのリンスの意味がなくなってしまいます。

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髪にトラブルがなければ、リンス剤だけで十分。でも、パーマネントや染髪、夏の紫外線などで、髪が激しく傷んでいるときは、コンディショナーやトリートメントなど、髪の保護・修復(?)効果の高いものが必要になります。
- リンス剤が髪の表面を保護するのに対して、トリートメントは髪の内部に、オイル分や保湿成分をしみこませる働きがあります。コンディショナーは、リンスとトリートメントの中間的なもの。髪の状態に合わせて、使い分けるのが良いでしょう。
コンディショナーやトリートメントを使うときには、リンスする必要はありません。

- 別のブランドのシャンプー剤と、リンス剤やコンディショナーを平気で使っている人がいます。これはペアで使った方が良いでしょう。なぜなら、シャンプー剤とリンスやコンディショナーは、ペアで使うことを想定して、Ph値が設計されているからです。
- 髪にとって理想のPh値は、肌と同じ弱酸性(Ph4.5 〜6 )。シャンプーでアルカリ性に傾いた髪を、Ph4.5 〜6 の弱酸性に戻すために、リンス剤やコンディショナーの酸性度が設定されています。
- シャンプー剤やリンス剤のPh値は、ブランドによってバラバラ。別のブランドのものを組み合わせると、Ph値が意図されたとおりにならないというわけです

- シャンプーは大きく分けて、石油系、石鹸系、高級アルコール系の3種類があります。石鹸系シャンプーはラベルに書かれていますが、石油系と高級アルコール系は、なかなか見分けられません。
そこで泡をチェック。泡のキメが細かくて重いものは高級アルコール系。泡が大きくて軽いものは石油系です。
- 髪質は人それぞれ違うので、どんなシャンプー剤を使えば良いのかは、一概にはいえません。石油系、石鹸系、高級アルコール系の特長を知った上で、自分に合ったものを使うのがベストでしょう。
- 石油系は洗浄力が優れているので、頭皮が脂性でベタついたフケが出る人にお勧め。石鹸系は、髪や頭皮への負担が少ないのが長所です。高級アルコール系は、適度な洗浄力があり、髪への負担も少ないといえます。
- 皮膚が弱い人や、湿疹ができている人は、低刺激性の乳児用のボディシャンプーを使うと良いでしょう。

- 洗髪後は、まずタオルで髪を叩くようにして水分を取ります。濡れた髪はキューティクルが剥がれやすくなっているので、タオルでゴシゴシこするのはダメ。
- つぎはドライヤー。ドライヤーの熱は髪にダメージを与えることもあります。髪が傷みはじめるのは、髪が 140 度以上になったとき。市販のドライヤーは噴射口の温度が75〜104 度で、140 度を下まわっています。
- それでも髪が傷むのは、同じ部分に長い時間、温風を当て、乾燥して髪が硬くなったところに、強くブラッシングして、キューティクルが剥がれてしまうせい。
ドライヤーは20センチくらい髪から離し、同じところには長くかけないこと。また目の細かいブラシや柔らかすぎるブラシは、ドライヤーを使うときは避けましょう。
