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政府(厚労省他)


6月25日の中医協

 厚生労働相の諮問機関である中央社会保険医療協議会(中医協、会長=遠藤久夫・学習院大経済学部教授)は6月25日、総会(第130回)を開催し、75歳以上を対象にした「後期高齢者医療制度」の新設に伴って導入した「終末期相談支援料」を7月から一時凍結することを決めた。凍結を求める諮問書の趣旨を説明するため出席した舛添要一厚生労働相に対し、中医協で一度決定したことを覆すことへの批判が委員から相次いだが、舛添厚労相は政治的な状況を踏まえた上での「異例の措置」であることを強調し、凍結の答申を得た。この日、開催を予定していた薬価専門部会(第47回)は時間不足のため、次回に延期された。(新井裕充)

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 この日の総会は、会場を厚労省17階の会議室から東京都千代田区の「如水会館」に移して開催。開場2時間前から多数の傍聴希望者が列をつくり、診療報酬改定前のような混雑ぶりを見せた。

 冒頭、遠藤会長が「本日、終末期相談支援料に関する諮問の件で舛添厚労相にご出席いただくことになっている。大臣は10時ごろに到着すると聞いているので、あらかじめご了承願いたい」と伝え、議事に入った。

 総会の議題は、▽医療機器の保険適用▽臨床検査の保険適用▽先進医療専門家会議の報告▽終末期相談支援料等の凍結(諮問)▽その他―の5点。
 「医療機器の保険適用」では、新規の機能区分(C1)として、大動脈瘤への血流を遮断するために使用する「ゴアTAG胸部大動脈ステントグラフトシステム」(ジャパンゴアテック社)と、膝関節の機能を代替するために大腿骨側に使用する材料である「ジェネシスUオキシニウム フェモラルコンポーネント」(スミス・アンド・ネフュー オーソペディックス社)を承認。
 このほか、区分A2(特定包括)として医科27件、区分B(個別評価)として医科25件、歯科9件の保険適用を承認した。「臨床検査の保険適用」では、区分E3(新項目)として、アトピー性皮膚炎を主な対象とする「血清中ヒトTARC 量の測定」(塩野義製薬)を承認した。以上の議題について、質問や意見は出なかった。

 「先進医療専門家会議の報告」では、▽多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術▽先天性難聴の遺伝子技術▽フェニルケトン尿症の遺伝子診断▽培養細胞による先天性代謝異常診断▽腹腔鏡下子宮体がん根治術―の5つの先進医療技術について、保険給付との併用を認めることを承認した。
 質疑で、藤原淳委員(日本医師会常任理事)が「多焦点眼内レンズを用いた水晶体再建術」について、「選定療養のニュアンスが強い」と指摘。混合診療との関係で、先進医療として保険適用する場合の基準をただした。医療課の宇都宮啓・企画官は「これが保険適用されるかどうかは、最終的には中医協での議論」と回答するにとどまった。遠藤会長も「これらはいずれ保険適用されることが前提になっている」と理解を求め、了承された。

 午前9時半にスタートした総会は、以上3つの議題の審議を20分程度で終了。5分間の休憩を入れ、舛添厚労相の到着を待った。



■ 終末期相談支援料の凍結で議論
 
報道関係のカメラが委員の席を取り囲む中、舛添厚労相が10時に入室。患者の家族と医療関係者が終末期の診療方針を話し合って文書にまとめた場合などに算定できる「終末期相談支援料」を凍結する諮問書の趣旨について説明した。

 舛添厚労相は、同支援料が国民から誤解されているとして遺憾の意を示しながらも、国民からの批判を受けて政府・与党が同支援料の凍結を決めたことを強調。これを契機に、終末期医療の在り方が国民的な議論に広がることに期待を寄せながら、「今回の一時的な凍結は(終末期の医療を)大きく羽ばたかせる意味を持っている」と述べ、同支援料の凍結に理解を求めた。
 続いて、原徳壽・医療課長が「凍結」の具体的な内容について、同支援料を7月1日から算定できなくなること、6月30日までに同支援料に関する文書などを提供した場合は例外的に算定できることなどを説明した。

 質疑では、中医協で一度決定したことを覆すことに対する批判が相次いだ。対馬忠明委員(健保連専務理事)は「こんなことができるなら、3年後、5年後、10年後、いったん中医協で決めたことをエビデンスがないまま凍結することが起きる。(今回の凍結は)あしき前例とならないか」と追及した。

 舛添厚労相は、野党4党が先の通常国会に提出した後期高齢者医療制度の廃止法案が参院で可決されるなど、政治的な状況を踏まえた上での「異例の措置」であることを強調。「民主主義の下では、国権の最高機関である国会の決定は非常に重い。これに勝る権威はない。国会の意思に従わなければならない」と理解を求めた。
 これに対し、「中医協も医療に関しては権威がある」との反論があったが、舛添厚労相は厚労省の広報体制の在り方に問題があったと指摘。「総理も『5つの安心プラン』の中で『厚労省改革をやれ』と言っている。わたしは、広報体制がきちんとできなかったことなどについて、改革の大なたを組織、人事含めてやらなければいけないと思っている」と強い口調で語った。

 午前11時、舛添厚労相が退席した後、同支援料の凍結を認める答申書の原案について議論。「今回の見直し」を「今回の措置」とするなど、委員からの指摘を受けて若干の修正を加えたが、意見がまとまらなかった部分が1か所あったため、会長一任とする形で大筋了承した。

 遠藤会長は「後ほど、修正したものを成文として答申する。皆様のご協力で当日に答申を出すことができた」と謝意を示して、総会は閉会した。

 最後まで議論になった個所は、「誤解を生じさせるような指摘などに対しては(厚労省は)毅然(きぜん)とした対応を取ることを強く望む」とした部分の「毅然とした対応」の表現ぶりだった。この日の午後に厚労省が公表した答申書では、「しっかりとした対応」に修正されている。


更新:2008/06/25 23:05   キャリアブレイン


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