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【主張】北の核申告 不完全なら再提出求めよ

2008.6.26 03:00
このニュースのトピックス主張

 北朝鮮は26日にも核計画の申告書を6カ国協議議長国の中国に提出する。米政府も北朝鮮へのテロ支援国家指定解除の手続きに着手する。

 6カ国協議の最大の目標は、北朝鮮の核完全廃棄を通じて朝鮮半島非核化を達成することだ。これを実現するには、北朝鮮が進めてきた核活動の詳細をもれなくリストアップすることが不可欠だ。核申告はそのための「急所」にあたる重要なプロセスである。

 ところが、4月の米朝協議前後から雲行きがあやしくなり、ライス米国務長官やヒル国務次官補の発言などを総合すると、申告書は核兵器の申告が除外されるばかりか、ウラン濃縮や他国への拡散行為も正式文書とは別の文書であいまいに触れるだけ−といった内容になる見通しだ。

 北の核施設の冷却塔爆破もパフォーマンスでしかない。申告の中身がずさんで不完全なら、いくら検証しても核の完全廃棄は程遠い。ライス長官も最近まで、プルトニウム抽出の詳細▽ウラン濃縮▽シリアなどへの拡散−の3点を「正確な申告に欠かせない柱」としていたことからすれば、明らかな後退である。

 この程度の申告の見返りにテロ支援国家指定解除に踏み切るのは、あまりに時期尚早であり、譲歩のしすぎと言わざるを得ない。次の段階や次期政権下で核完全廃棄をめざすうえで、かえってマイナスの結果を残す恐れもある。

 米政府は申告の内容を検証し、問題があれば指定解除の見直しもあり得るという。だが、残り任期が少なく、核問題で外交的成果をめざすブッシュ政権にとって現実には困難だろう。提出前からこれだけの欠落が指摘されながら、申告と指定解除手続きに走るのは米朝当局者間の「出来レース」と批判されてもやむを得ない。

 福田康夫首相は「北朝鮮の核問題が解決する方向に進むならば歓迎すべきことだ」と語った。だが、日本にとって死活問題である核兵器の申告を棚上げするようでは解決の方向とはいえまい。

 指定解除に着手するのは、6カ国協議の場で申告書の内容に厳正な検証・評価を加えてからでも遅くない。不完全でずさんな申告書なら、撤回させ、再提出を求める決断も必要だ。日本政府は申告と指定解除を既定の行動としてすませず、最良の方策をとことんまで日米間で協議すべきである。

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