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2008年6月26日

 「卵値上げ」の記事が目に止まった。経済面や社会面ではなく1面に掲載されていたことにオヤッと思ったのである

小麦粉、パン、うどん、ミソと相次ぐ値上げの中でも卵はある意味で別格だ。戦後60年ほとんど値段が変わらない「物価の優等生」の変動は、歴史的ニュースと判断されたのだった

昭和20年代、1個の生卵に醤油をだぶだぶに掛けて量を増やし、兄弟3人で奪い合って食べた熱い卵かけご飯を思い出す。あれ以上にうまいものをいまだ知らない。当時の卵が今と同じ値段というのだから感慨深い

福田康夫首相の父・赳夫氏が朝食をとりながらインタビューを受けた際、生卵をかけた後の小鉢にご飯を入れてきれいにぬぐい取った姿は記者の間で語り草だが、明治生まれでなくとも皆そうした。ご飯と卵は「もったいない」の元祖である

鶏卵値上げの影響は小さくはない。政治が先か経済が先かは分からないが、政治はどこまで国民の暮らしを守れるかが問われている。福田首相は「政治家の優等生」と言われる。が、これは決してほめ言葉ではない。早くこの優等生の殻を破ってほしいが。


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