筑前町は、町内の公共施設を中心に「あかちゃんの駅」を開設し、育児世代を応援する取り組みを始めた。授乳やおむつ替えの場所として遠慮なく使ってもらい、おっくうになりがちな赤ちゃん連れの外出を促す作戦。「公共施設だけでなく、お店や事業所にも広げたい」。町は今後、駅の“増設”を進める方針だ。
町こども未来課によると、駅は「こども未来センター」「めくばーる健康福祉館」「町図書館」など10カ所。授乳やおむつ替えがしやすいスペースをそれぞれ確保しているほか、ミルク用のお湯も提供する。赤ちゃんが遊んでいる姿をデザインしたポスターが目印。
「職員みんなが慌てました」。同課の徳永佐代子課長は、駅のきっかけになった昨年夏の出来事を振り返る。
図書館を訪れた赤ちゃん連れの母親が授乳を希望。館内に適当な場所はなく、職員だけでなく母親も戸惑ったという。「せめて公共施設は赤ちゃんと母親にやさしい環境を提供しよう」と4月から順次、駅を設けた。
筑前町の人口は約2万9000人で、ここ数年伸び悩み気味。環境づくりに加え、子育て支援策を充実させることで若い世代の関心を引きつけ、定住につなげることも狙って知恵を絞った。
10カ所のうち、民間施設は今のところ保育園の1カ所のみ。「人目が届かないちょっとしたスペースがあれば、駅の開設は可能」と徳永課長。「美容院やスーパーはもちろん、レストランや居酒屋など、赤ちゃん連れでは行きにくい店も駅になれば」と期待する。町の広報紙やホームページを通して、近く協力を呼び掛けるという。
=2008/06/26付 西日本新聞朝刊=
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