「このごろ、何か自分の思い通りにならないと、すぐに人のせいにする風潮がある」と、高齢の元医師が嘆いていた。 ▽インターネットのブログで誰も相手になってくれないからとか、彼女ができないからとかで、そのうっぷんを、全く関係のない他人へぶっつけて大事件を引き起こす。そんな人間が居ることが念頭にあるのだろう。 ▽交通事故を起こしたのは道路事情が悪いからだ。子供が九九の覚えが悪いのは先生が悪いからだ。こういう調子で、人のせいにすればこんな楽なことはない。 ▽政界はねじれっぱなしで国会閉会。与野党のお偉方はお互い相手の非を鳴らすだけで、どうすれば良くなるのか納得のいく提案がない。自分に与えられた責任を真剣に考えているのかと疑いたくなる。だから国民は、今の政界にはしらけきって、期待が持てないのだ。 ▽次代を担う子供たちにはこうあってほしくない。責任が他にある事柄と、自分の責任で処理しなければならない事柄を、はっきりと分けて教える必要がある。世の中はなかなか思い通りにはならないものである。 ▽思い通りになろうとすれば、自分が努力するしかない。優れた芸術家や、オリンピックを目指して努力している、スポーツ選手を見ても分かる。不満や不都合を、政治が悪い、社会が悪いというだけでなく、大人がそれを変えるように努力する姿を、子供に見せることが大事だろう。(香)