現在位置:
  1. asahi.com
  2. ニュース
  3. 社会
  4. 事件・事故
  5. 記事

管詰まりガス逆流、渋谷・温泉爆発から1年

2008年6月19日17時3分

印刷

ソーシャルブックマーク このエントリをはてなブックマークに追加 Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをdel.icio.usに登録 このエントリをlivedoorクリップに登録 このエントリをBuzzurlに登録

図 ※図をクリックすると拡大します

 東京都渋谷区の温泉施設「シエスパ」爆発事故で、ガスの排出管をU字形構造に変えたため、U字の底の部分が結露で生じた水などで詰まりやすくなっていたことが警視庁の調べでわかった。同庁は管が詰まったことでガスが機械室内に逆流し、換気扇の機能が不十分だったことも相まって室内に充満して、爆発につながったとみている。事故は19日で発生から1年となる。

 配管は当初は直接、機械室近くの地上に出す設計だったが、付近住民への騒音対策で急きょ、すでに敷設されていた区道下の管にいったんもぐらせて本館側の地上に出す構造に変更されていた。

 警視庁は、施設を施工した「大成建設」やガス排出設備を施工した「大成設備」が工期などを優先し、ガス排出機能を十分に考慮しなかった可能性があるとみて、過失の有無を調べている。

 捜査1課の調べや関係者によると、爆発は従業員用施設の地下の機械室で発生。機械室には、温泉水からガスを分離するガスセパレーターなどがあった。同機械や源泉槽から出たガスは当初、機械室からガス抜き用配管を通して上方の地上に出す設計だった。

 しかし、付近住民から騒音の懸念が寄せられたため、大成設備などは開業8カ月前の05年5月、ガス配管を区道をはさんだ本館側に回す構造に変更した。区道の地下約3メートルを通る送湯管とひとまとめにしたため、配管2本はいったん下方におりて、地中を水平に走ってから上方に通すU字形になったという。

 警視庁が再現実験を重ねた結果、区道下を通るガス管内の水蒸気の結露によって水がたまり、管が詰まることが確認された。ガスは空気より軽いため、詰まった配管から機械室内の源泉槽に逆流。逆流したガスは、源泉槽にたまりすぎた温泉水を外に逃がす管を通って、一緒に機械室内に漏れ出たとみられる。

 結露は気温が低い時のほうが進むことがわかり、冬の間に水がたまった状態になっていたと同庁はみている。ガス管内の水抜きは06年1月の施設開業以来一度も行われていなかった。施設を運営するユニマットグループ側は「大成側から水抜きを求める書類は渡されていない」としている。

 一方、機械室はもともと計画されていた換気扇と連動した吸気ファンが設置されず、事故時は換気扇が十分機能していなかった可能性が高いことが捜査1課の鑑定でわかった。

 爆発の発火源は、温泉水くみ上げ用制御盤から出た火花とみられている。制御盤には作動時に出る火花が大気にふれるのを防ぐ覆いがなかったことも判明した。

PR情報
検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内