「新しい医師養成の考え方を」
政府の経済財政諮問会議の大田弘子担当相はこのほど、医療費について、「効率化できる部分は効率化すべき。既定路線で効率化できるものは『基本方針2006』にのっとって効率化していく」と会議後の記者会見で述べ、重複検査の抑制やジェネリック(後発医薬品)の使用促進で医療費の削減を図りながらも、救急の受け入れ不能や医師不足といった新たな問題に対応するなど、めりはりの利いた医療政策を進めていく考えを示した。原案では、医師不足の解消を図るとともに病院勤務医の環境を改善する方法として、「現行の仕組みにとらわれない効果的な方策を講ずる。その際、これまでの閣議決定に代わる新しい医師養成の考え方について検討する」としている。
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同会議は6月23日、「経済財政改革の基本方針2008」の原案について議論した。
社会保障費を07−11年度の5年間で1.1兆円、毎年度2200億円抑制することを明記した「骨太の方針06」の見直しを求める声が強まる中、「基本方針08」の原案は「機械的に5年間均等に歳出削減を行うことを想定したものではない」と明記した。
歳出増を要望する与党からの圧力について、大田担当相は「暴風雨のように強い。今年はさらに強い。早い段階から吹いていた、暴風が吹いていたという感じがする」としながらも、「歳出削減路線は守っていかなくてはいけない」と述べた。
その上で、「国民のニーズが非常に高いもの、緊急性の高いものについて、まず財源を捻出(ねんしゅつ)して対応していくという原則をはっきりと示した。国民のニーズが高い経費について、財源を捻出して充てるということについては、歳出改革が揺らいだとみていない」とした。
今後の社会保障の在り方については、「今の医療構造のまま医療費が伸びていいのかを考えると、効率化できる部分は効率化すべきだ。既定路線で効率化できるものは『基本方針06』にのっとって効率化していくが、新しく必要になったものは、しっかり対応する」と述べた。
■ 社会保障制度の重要課題
「基本方針08」の原案によると、社会保障制度の重要課題は、▽質の高い医療・介護サービスの確保▽持続可能な年金制度の構築▽総合的な少子化対策の推進▽福祉施策や健康対策など▽「健康現役社会」への挑戦―の5項目。このうち、「質の高い医療・介護サービスの確保」では、「ドクターヘリを含む救急医療体制の整備」「産科・小児科をはじめとする医師不足の解消や病院勤務医の就労環境の改善」などを挙げた。
医師不足と病院勤務医の対策としては、「女性医師の就労支援」「関係職種間の役割分担の見直し」「メディカルクラークの配置」などを進めるほか、「診療科間、地域間の配置の適正化について、現行の仕組みにとらわれない効果的な方策を講ずる」とした。
さらに、「効果的な方策」を講じる際には、「これまでの閣議決定に代わる新しい医師養成の考え方について検討する」としている。
一方、後期高齢者(長寿)医療制度については、「創設の趣旨を踏まえつつ、低所得者の負担軽減など政府・与党協議会の決定に沿って、対策を講ずる」とした。
介護・福祉サービスを支える人材の確保については、「処遇の改善」を挙げ、そのための方策として、「キャリアアップの仕組みの導入」「資格・経験を踏まえた適切な評価など」を挙げた。
更新:2008/06/25 18:58 キャリアブレイン
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