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先日、編集局内でちょっとした騒ぎがあった。著作権のない写真を新聞ではない印刷物に使ってしまったのだ。幸いに著作権者の理解が得られ、事後承諾で事なきを得たが、本来はあってはならないことだ。
統合データベース(DB)トリトンの写真DBからダウンロードした写真なのだが、トリトンにはちゃんと「利用不可」と明記してあった。ダウンロードした写真部デスクは、著作権の認識はちゃんとあったが、社内限定のつもりで使ってしまったようだ。
我が情報調査部に落ち度はなかったが、「利用不可」という表現は弱いかもしれないと、黒い字を赤にして「利用禁止」と強い表現に変えた。と同時に写真DB内の写真利用についての通達を全社に出した。
写真DB内の写真は@社内および外部利用可A社内利用可B新聞のみ利用可C利用禁止の4種類に分類されている。フォトバンクで販売しているのは@の写真だ。AとBは分かりづらいが、Aは毎日新聞だけでなく本社の刊行物に利用できるもので、Bは毎日新聞本紙だけに利用できる写真だ。Bでも英文毎日や学生新聞、別刷り新聞はダメなものがある。悩ましいのは体裁は新聞記事だが、実際は広告となっている新聞だ。これには厳密には使えないが、正直にいえば、かなりいい加減な解釈をされて使っていることもある。ただし今回の通達で、厳密な運用をお願いした。
ではCの利用禁止の写真を、なぜデータベースに保存しているかだ。Cの写真の中には▽通信社の写真や、提供写真で著作権がない▽肖像権上の問題がある▽人権上の配慮が必要−−などが含まれる。肖像権は芸能人やスポーツ選手などだが、新聞社では報道目的なら肖像権には縛られないと解釈している。つまり芸能人が逮捕されたり、死亡した時の記事に使う場合はOKということだ。人権上の配慮とは、昔はよくあった手錠姿の連行写真などだ。遺体写真も同じ理由でダメだ。これらは、著作権者や肖像権者に使用を申請すれば使える写真もあるので保存はしている。
だがCで一番多いのは、校閲や情報調査部でチェックが済んでいない写真だ。例えば新聞で使った写真の別カットは、写真DBにそのままノーチェックで保存される。ボツになった写真も同じだ。これらはもちろん使えるが、その場合は再度校閲を通すなど慎重な使用が求められる。
でも実は新聞記者はこの「慎重に」が苦手な人が多い。小生も含めて。
情報調査部長 長倉正知
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