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モルグ万言う記
他山の石(2008/1/15)

 著作権などを担当する知的財産管理センターの中田彰生さんが「こんなことがありました」と言って2枚の紙を持ってきた。中田さんは情報調査部OBで著作権のオーソリティーだ。元々、著作権関連の担当部署は情報調査部で、今も担当者を置いているが、今はメーンは知財センターが受け持っている。
 中田さんが持ってきたのは顛末書と詫び状で、こんなことがあったという。
 読売新聞と東京新聞が、ともにお正月紙面で建設中の東京タワーの鉄塔に鳶職が立っている同じ空撮写真を使っている。なかなか迫力のある写真だ。しかしこれは50年前に毎日新聞のヘリから写真部員が撮影した写真(掲載は1958年7月11日夕刊一面)だったのだ。つまり法人著作物(職務上の著作物)であり、著作権は毎日新聞社が持っているわけだ。
 読売新聞の詫び状(東京新聞からはまだない)を読むと、取材された元鳶職が「使っていいよ」と言ったので、著作権のことを考えず使ってしまったようだ。今年は東京タワー建設50年なので、この元鳶職に取材が集まり、同じ写真の提供となったらしい。詳しい経緯は分からないが、当時の毎日新聞としては、たぶん取材に協力してくれたお礼に、この元鳶職に写真を渡したのだろう。
 両新聞とも知らずに使ったようだが、明確な著作権法上の無断使用違反である。読売新聞はネットに出ていた写真を削除し、データベースからも削除した。中田さんは「違反は違反だが、うちもいつ同じ立場になるかも分からないので、強くは出ませんでした」と笑っていた。確かに。著作権うんぬんが言われ始めたのはここ10年ほど。記者の意識、新聞社の意識が整っていないのも現実なのだ。ここは他山の石としたい。

情報調査部長 長倉正知

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