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モルグ万言う記
A案件(2008/2/6)

 机の上の電話が鳴る。聞き慣れた声が「いつもすみませんねえ」と話し出す。ドキッ、これが小生の緊張の源だ。モルグでは「A案件」と密かにコードネームが付けられたレファレンスだ。
 朝比奈常務取締役主筆は、小生の直属の上司である編集局長のさらに上役で、出版局とデジタルメディア局も管轄する。つまり論説を含め毎日新聞社が発信するニュース、情報のすべてを統べる立場にある偉〜いお方である。有名なナベツネさんも読売新聞社の主筆だ。
 直接仕事をしたのは、社会部時代に小生が加わっていた組織暴力(つまりヤクザですな)取材班の時だけで、朝比奈さんは担当デスクだった。噂には聞いていたが、とにかくその行動力と発想には舌を巻いた。
 朝比奈さんは、前任の社長室長時代から我が情報調査部の利用頻度は極めて高かった。ただ来室することはなく、いつも電話で調査依頼がある。大抵は、これから会う人の会社の情報や当事者の調査だ。といってもすごいことを調べるわけではない。会った時に話題に困らないようにするためで、新聞記事が中心の資料だ。それを読み込み、自分のものにしてから相手に会うらしい。先方に向かう車の中で読むこともあるようなので、こちらも急いで調べねばならない。こうした用意周到さが、特ダネ記者の秘けつだったのでは、とダメ記者だった小生は推測している。
 A案件があると、ベテランの峰島さんや岡崎さんに記事を集めてもらう。それを小生がざっと読み、不要な記事は除き、必要な記事は要点が頭に入りやすいように、キーワードにカラーマーカーで印を付けるようにしている。たかがコピーではあるが、とにかく大のお得意様?なのでいい加減な仕事はできない。時間がない時は小生自身も分担して調べることもある。
 緊張するA案件だが、ここには書けない社の機密事項の調査もある。余計なことは言わないし、書かないが、会社がどういう方向に行こうとしているかなどを、ある程度類推することもできる。そういう場合は、できるだけ自分1人で資料集めをすることにしている。それはそれで緊張もするが、モルグを十分活用してくれているのだなと、ある面で楽しいことも事実だ。
 昨夕、急に飛び込んできたA案件は、某大学トップとの会合用だ。4時に電話があり、夕刻6時には会社を出発するので(ということは5時には用意しろ、という意味)それまでに、という注文だった。トップの経歴と、大学自体のトピックスを集めた。この大学で有名なのは……おっと余計なことは書かない書かない。

情報調査部長 長倉正知

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