刑務所内で適切な医療行為がなされてないとして、前橋刑務所に服役中の男性受刑者(39)が国を相手取り、300万円の損害賠償を求めた訴訟で、前橋地裁(桜井佐英裁判官)は24日、請求を棄却した。
判決によると、頭痛などの体調不良を訴えた男性受刑者は「頭痛などの原因は髄液が硬膜外へ漏れ出ることで、起立性頭痛を誘発する低髄液圧症候群だ」と考え、治療を要望し続けたが適切な治療を施すことなく放置されたと主張していた。
桜井裁判官は原告の主張を「前橋市内の病院の診察で肩こりによる緊張性頭痛または頸椎(けいつい)症と診断されており、この診断は根拠を欠くものとは言えない」と退けた上で「原告の希望する検査を外部医療機関で実施する注意義務は認められない」とした。
弁護側は「控訴はしないが、刑務所内での問題を提起したことには意味があった」と話した。一方、同刑務所は「国側の主張が認められた。今後とも適切な医療に務めたい」とコメントした。【鳥井真平】
毎日新聞 2008年6月25日 地方版