我が国首相による諸外国首脳との会談の場が増えている。7月のサミットを控えてという時節柄もある。だが妙な優越感もこだわりも持たずに米国のみならず各国と対等に付き合い、国際社会の中で応分の役割を果たそうとする首相の外交姿勢がその実現を可能にしているように思う。
隣接する国同士は難しい課題を抱える宿命にある。不信感の連鎖がもたらすのは課題解決どころかより深刻な事態であり、何よりも大事なのは信頼関係の構築だ。首脳同士の率直な対話はその信頼の礎を築く。5月には日中首脳会談があった。我が国首相の「日中両国がアジア及び世界の安定と発展に貢献する責任をしっかり認識し、絶えず相互理解を深め、相互信頼を築き、互恵協力を拡大しつつ、アジア太平洋及び世界の良き未来を共に創(つく)り上げていく」という決意は両国国民に対する呼びかけでもあろう。これは両国民の心底願うところでもある。懸案となっていた東シナ海ガス田開発の共同実施が合意された。そこには両国首脳の覚悟がうかがえる。
そしていよいよ洞爺湖サミット本番である。すさまじい勢いで成長し続ける多くの新興途上国。一方で67億人に迫り1年8千万人の勢いで増え続ける世界の人口。偏在する資源と自然の恵み。更には世界経済を支配せんばかりの巨大政府系ファンドと資源メジャー。それらすべてを背景としつつ食料、資源エネルギーの価格高騰問題と環境問題がうねりとなって国際社会を席巻する。この事態をどこに導くのか。メンバー各国はその果たすべき役割として何をどこまで共有化できるのか。そして我が国は。議長国日本の主としての首相のリーダーシップに期待がかかる。(啄木鳥)