MSN Japanのニュースサイトへようこそ。ここはニュース記事全文ページです。

ニュース: 政治 政局政策地方行政写真RSS feed

【主張】銃撃日本漁船 洞爺湖でも領土原則貫け

2008.6.25 02:20
このニュースのトピックス主張

 ロシアが、北方四島周辺海域でカニかご漁をしていた日本の漁船「第31吉進丸」に威嚇発砲し、乗組員1人に銃弾を命中させ死亡させた事件が発生したのは一昨年8月16日のことである。

 日本政府はその後、事件の重要な証拠物件として拿捕(だほ)漁船の返還を強く求めてきた。ところがロシアは、これを無視して国営の漁業関連会社にすでに譲渡したという。他国の漁船を拿捕し、勝手に自国の財産にするとは時代錯誤の野蛮な行為である。

 同漁船には衛星利用測位システム(GPS)も搭載されており、ロシア側が事件の重要事実を隠蔽(いんぺい)し、闇に葬り去ろうとしているのではないかとの疑念を呼ぶ。

 そもそも、事件が起きた北方四島周辺海域は日本の領海であり、ロシアの国境警備艇がわが物顔で発砲する行為は許されない。第二次大戦後、ソ連(ロシア)が不法に占拠し、60年以上にわたり未解決の北方領土問題が、この事件の最大の原因なのである。

 終戦直後、日本が大混乱する中でソ連は、どさくさに紛れて択捉、国後、色丹、歯舞の北方四島と周辺の島々を実効支配し、約1万7000人の日本人住民を強制退去させた。

 ロシア側は、1951年のサンフランシスコ平和条約で、日本が千島列島を放棄したことをとらえ、列島に属する北方四島はロシア領だと主張している。だが、ロシアはもともと同条約に調印しておらず、詭弁(きべん)でしかない。

 最近、日本国内の一部には、ロシア側との関係発展のために、2島返還論や3島返還論を弄(ろう)する向きもある。だが、隣人の財産は略奪してはならず、不法に奪ったものは元の所有者に返す。それは当然のルールだ。隣人としての信頼と真の友情は、その上で醸成されるのである。

 この単純で、重要な大原則を目先の小さな利益に惑わされて曲げたら、日本は世界からも子孫からも侮られることになる。

 来月7日からの主要国首脳会議(北海道洞爺湖サミット)は北方領土を間近にして開かれ、日露首脳会談も行われる。

 G8首脳が一堂に会する全体会議では、北方領土問題が取り上げられる可能性は低い。しかし、これだけロシアの横暴が明らかになった以上、日本は個別首脳会談で大原則を掲げ、島と漁船の返還に全力で臨むべきである。

PR
PR
イザ!SANSPO.COMZAKZAKFuji Sankei BusinessiSANKEI EXPRESS
Copyright 2008 The Sankei Shimbun & Sankei Digital
このページ上に表示されるニュースの見出しおよび記事内容、あるいはリンク先の記事内容は MSN およびマイクロソフトの見解を反映するものではありません。
掲載されている記事・写真などコンテンツの無断転載を禁じます。