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【主張】集団的自衛権提言 非現実的解釈変える好機

2008.6.25 02:20
このニュースのトピックス主張

 日本が、自国の安全を守り、国際平和に協力していくためになすべきことがようやくまとまった。集団的自衛権に関する政府の「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」が福田康夫首相に提出した報告書の意味合いは大きい。その実行には日本の命運がかかっているといっても過言ではない。

 報告書の核心は、集団的自衛権行使を認めないとする政府解釈では新たな安全保障の重要問題に適切に対処できず、従来の憲法解釈を変更せねばならない、と明記したことだ。政府の懇談会が憲法解釈の見直しを求めたのは極めて異例だが、日本が国際社会の常識と著しく遊離していることが国家存立の基礎を損なう事態になっていると認識すべきである。

 懇談会は昨年4月、安倍晋三前首相から、(1)米国を狙った弾道ミサイルをミサイル防衛システムで迎撃(2)公海上で並走中の米軍艦船が攻撃された際の反撃(3)国際平和活動を共にする友軍への攻撃に対する反撃(4)国際平和活動に参加する他国への後方支援−の4類型を検討するよう指示された。

 報告書は(1)と(2)に対し、従来の憲法解釈を変更して集団的自衛権行使を認めるよう求めたほか、(3)と(4)も「武力行使との一体化」にあたるとして認めてこなかった解釈を変えるよう提起した。いずれも妥当な判断だ。評価したい。

 問題は福田首相の対応だ。懇談会は福田政権に代わってから、休会状態になっていた。今回の報告書に対しても、首相は「よく研究したい」と述べるにとどめた。

 首相の関心の薄さは、昨秋、集団的自衛権の行使問題について、「扱いは十分慎重でなければならない」と述べたことにうかがえる。公明党などに慎重論が強いことに加え、衆参両院の意思が異なるねじれ状況を踏まえてもいるのだろう。

 しかし、報告書が「先例墨守や思考停止の弊害に陥ることなく、憲法規定を虚心坦懐(たんかい)に見つめ直す必要がある」と訴えたことは重く受け止めるべきだ。自衛隊が友軍を助けられない現況は「常識に反し、国際社会の非難の対象になりうる」とまで記述されている。

 日本は当たり前の国として日米同盟関係を強化し、国際社会とともに生きることがなによりも求められている。非現実な憲法解釈を見直して国民や国益を守ることは国家の責務であるからだ。

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