今年4月、福岡市教育委員会の係長が宿泊先のホテルで窃盗未遂などの疑いで逮捕されました。
小学校の教頭なども務め、多くの人たちに信頼されていた先生の逮捕に「何かの間違いでは」との声があがりました。
結局、証拠がないとして不起訴になりましたが、先生にとってはあまりにも辛い2か月となりました。
福岡市教育委員会の総務部企画課の係長・赤司文彦さんは、今年4月、家族で訪れていた長崎県雲仙市のホテルで逮捕されました。
他の客の部屋に忍び込み、バッグを物色したとされる窃盗未遂の現行犯でした。
教育委員会は、逮捕の翌日「事実関係を調査中」としながらも謝罪会見を行い、赤司さんの名前は容疑者として報じられました。
しかし、赤司さんは、一貫して「部屋を間違えた」と無実を主張、周囲の人たちからも犯罪ではないのではないか、疑問の声があがっていました。
今年3月まで市内の小学校で教頭を務めた赤司さんは、「信頼できる先生」として評価が高く、保護者や地域の人、同僚たちは、無実を訴える上申書を提出していました。
そして、今月18日検察庁は、「嫌疑不十分」、つまり有罪を立証する証拠がないとして赤司さんを不起訴処分にしました。
ところで、赤司さんは、誤って部屋に入った際、強力な力で取り押さえられたため抵抗しましたが、このときに、この部屋の宿泊者が軽いけがを負いました。
検察庁は、これについては、「起訴猶予」、つまりけがを負わせた事実はあるが、裁判で罪を問うほどではない、としました。
このため、教育委員会は、この点について現在処分を検討中です。
旅先で赤司さんが間違えて入った部屋は、赤司さんの宿泊していた部屋の下の階で、階段から見ると同じ位置関係でした。
当初から、容疑を否認し、状況としても誤って部屋に入ってしまった可能性がある中で、逮捕してしまった警察の対応が適切だったのか検証が求められています。