「反ひのきみネット」設立にあたって
1999年8月、日本の国会において「日の丸・君が代」が国旗・国歌として法制化されたことは、通信傍受法の制定や、出入国管理および難民認定法・外国人登録法の改悪されたこととならんで、グローバル化する世界の中で日本がいま、「国民」という輪郭の確定と再編にむけて急速に動き出していることを示しています。
なかでも、日本の国旗・国歌の法制化は、日本「国民」としての帰属意識や特権意識をつくりあげるという、国家の象徴的暴力による、排除と選別と抑圧のプロセスの強化に他なりません。しかも、このようなナショナル・シンボルが日常化され自然化されることによって、国家と国民が形成されるさいの暴力や序列化や差別の歴史は忘れ去られてゆきます。
それと同時に、このような国家による象徴的暴力の問題は、けっして日本の「日の丸・君が代」に特殊な問題ではありません。多様な歴史的出自をもつ国民国家で、さまざまな排除と選別・差別が行わているなか、それに対抗する思想や取り組みもまた、それぞれの歴史状況における固有性をもちつつも、けっして孤立したものではありえません。
このような想いで、メーリングリスト(日本語anti-hkm、英語napons、ハングルanti-hinokimi)と、ホームページ(
http://www.jca.apc.org/anti-hinokimi/
)を運営することにしました。
*複数の言語でMLを立ち上げる理由に関しては
多言語的なネットワークのために
を参照ください。
このネットワークは、ナショナリズムや国家象徴の問題にかかわる様々な意見交換・情報交換のためのトランスナショナルな共同フォーラムの場として構想されたものです。日本における「日の丸・君が代」の法制化に凝縮される、新たな国家の象徴的暴力の再編成と、それにともなって日常的に生じる人権侵害や不正義に対抗するうえで不可欠な思想と方法を共有し、認識論的・経験的・理論的視座を養ってゆくことを目的としています。
教育や研究など、様々な個々の「現場」で、これからまずます増えてくるだろう闘いを持続的に支援し、その支援の輪を広げていくことが目指されてもいます。
*「反ひのきみネット」が連携する教育現場のネットワークに関しては以下のサイトを参照ください。
http://www.jca.apc.org/hinokimi/
多くの方々のご参加、ご発言を期待申し上げます。
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