■■■ハープ・システムに秘された陰謀■■■
ここではハープの隠された部分を暴いていく。
その隠された部分とは、ずばり電磁波を利用したマインド・コントロールである。
ここで扱う概念の数々はより平易な表現で示し、技術的な知識がなくても十分に理解できる
よう配慮したつもりである。筆者の目標のひとつは、電磁波を便ったマインド・コントロール
の概念について、ごく一般の人々にも理解を深めてもらうことでもあるからだ。
ハープ・システムによってマインド・コントロールを行うという考え方は、電離層加熱装置
として出発したハープの目的から逸脱したものではないかという人もいるかもしれない。
軍部でプロジェクトの計画自体に擦わっている人間でも、
任されている仕事が少なければそう思っても不恩議はなかろう。
しかし、ハープに関連する記録に対して詳しい調査を行い、特許技術の内容を検計し、
空軍の書類の内容を吟味すると、答えはひとつしか出てこない。意図していようと
そうでなかろうと、ハープ・システムが精神機能に変化をもたらす装置として
便用される可能性を秘めていることには変わりがないのだ。
「環境的・生化学的手法をもって人間の行動や知的機能に影響を与えるような技術が
開発される時代は必ず来る。こうした技術が完成することによって、それを実行に移す
という誘惑に勝てない種類の人間が現れるのは、避けられない事実なのだ」
これは、1968年の「ニューヨーク・タイムズ」紙に掲載されたカリフォルニア大学
バークレー校のデビッド・クレッチ博士の談話である。
彼は恐るべき技術がやがて実現することを予見していた。確かに、わずか数年前までは
実現不可能と思われていた技術が、その後の技術研究の進展によって飛躍的に実現に向けて
前進してきている。
ところが、そういう状況になったがために、そういう技術が現在の社会にもたらす影響に
ついて、公の場においてしっかりとした形で討論されるべき数々の問題が生じてきた。
技術によって実現する事柄を考えれば、なおさらのことである。
さらには、電離層にアンテナのような機能を持たせ、軍事目的で使用するという事態を
迎えることになれば、国際条約で取り決められた内容に抵触することにも
なりかねないだろう。
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■■■マインド・コントロール概究の先枢け■■■
ホセ・M‐R‐デルガド博士は、
1952年から人間の脳についての研究を行い、その結果
を論文で発表している人物である。
スペインで専門教育を受けた彼は、1950年米国に
やってきて、工−ル大学で教鞭を執ることになった。
同大学で生理学の教授となったデルガド博士は、マインド・コントロールに
関する研究を続けた。彼の初期における研究は1969年に刊行された
『Psychocivilized Society of the Mind:Toward a Psychocivilized Society』
という本にまとめられており、
この本は人間の脳に関する研究の先駆けをなすものと目されている。
デルガド博士による初期の研究には動物を便って行われたものであり、実験動物の脳に
電極を刺し込むような内容の実験も行われていたらしい。こうした実験の結果、
脳に電流を流すと動物の行動を操作するのが可能なことがわかった。
デルガド博士は、睡眠状態から興奮状態まで、さまざまな状態を人工的に生み出せるという
事実を発見したのである。さらに研究を発展させた彼は、同じような効果を電極を
つながないワイアレス方式で実現することに成功した。
別の表現でいえば、彼が開発したのは遠距離から脳に対する操作を行うという技術であり、
これを用いると動物と物埋的に接触したり、特殊装置を装着するといった必要がまったくない。
デルガド博士は発信する電波の周波数や波形を変化させることによって、
動物の思考形式や感情を思いのままに操る術を手に入れたのだ。
デルガド博士による研究は、他の研究者の出発点を創出するという役目を捜っていたようだ。
彼は自著のなかにユネスコ憲章から一文を引用している。
「戦争は人の精神から始まるものであり、ゆえに人の精神にこそ平和精神という
防御壁が形成されなければならない」
デルガド博士はこうした思想をもって自らの研究を進めていた。しかし、彼のこの研究は
同時に、政府による技術の悪用という可能性の芽も育ててしまった。
マインド・コントロール研究についてCIAが書いた本の中でも、デルガド博士による
一連の研究の話が出てくる。また1969年には、ClAの研究聞発局に勤務していた
ゴットリーブ博士という人物によって詳しい検証が加えられている。
このゴットリープ博士は、デルガド博士が確立した技術の実用性を模索していたのだ。
当時、研究はまだ発足したばかりだったが、C工Aは〃心理的に操作された社会〃とでも
呼ぶべきものの実現のため、デルガド博士が持っていた研究者としての視野を
利用したのである。
この時期、トウレーン大学の神経外科医ロバートーG‐ヒース氏が、
脳に電気的刺激を与えるという研究分野において実用化できるような技術を形にしつつあった。
最近になって、ある人物がこの研究について以下のように書いている。
「デルガド博士が結論したように、ヒース氏は脳に対する電気的な刺激が恐怖や快楽といった
感情と同じように幻覚をもたらすという事実を発見するに至った。こうした技術を便えば、
文字どおり人間の意志を操れるようになる」
■■■CIAが注目したマインド・コントロール技術への応用■■■
CIAのマインド・コントロール技術に対する興味は朝鮮戦争を契機として始まった。
当時は北朝鮮が西側諸国では実現されていなかったマインド・コントロール技術を
実際に駆使していたと考えられたのである。
CIAはこの分野に間する集中的な研究を行ったが、失敗ばかりが積み重なり、
目立った成果は一向に挙げられなかったという。多数の大学生や兵士に対してLSDを
使った人体実験を行ったり、カナダの市民に対して承諾もなくマインド・コントロールを
試みたりと、スキャンダラスな内容の事件は枚挙にいとまがなかった。
CIAにとって、デルガド博士が開発した、電極や装置が必要のない
マインド・コントロール技術はまさに刺激的なものと映った。動物が電磁場に
置かれた状態になると、直接体に触れないまま行動を操作することが可能となる。
しかも、デルガド博士が便用した電磁場は自然の状態で地球に存在する磁場の50分の1
という強さしかなかった。こうした技術を便い、彼は猿を眠らせる以上のことができるのだ。
多くの研究者たちが脳波操作という技術分野に着目しはじめ、蓄積されたデータベースが
本当の意味で理解されはじめたのは10年ほど前からのことである。
ハープの管理者ジョンーヘクシャーがインタビユーで、ハープ型送信器で用いられる周波数
とエネルギーは調節可能であり、しかも使用目的に応じて1〜20ヘルツの周波数帯の電波を
使用すると明言している事実は重要だ。また彼が、装置で用いられる周波数とエネルギーの
範囲は微々たるものであるが、それでも地球が自然な形で発しているものとは
歴然とした差があるといっているのも忘れてはならないだろう。
ヘクシャーはさらに、「ハープ装置から発せられるこれらの極超長波は、地球が自然に
発している低周波と比べると非常に徴量である。ゆえに、特製受信器のような装置を
使わなければ検知する手段はないだろう」とも語っているのだ。
ここで問題となるのは、ハープ装置から発信される、地球の電磁場の50分の1という
徴弱なパワーの低周波が、それでも脳の活動に甚大な影響を与えるという事実なのである。
ハープ・システムによって、巨大な電磁場が形成されることになる。この電磁場が与える
影響は、デルガド博士が開発した技術で実現されるのと同様のものであると
考えることができるだろう。
しかし、一番大きな違いは、デルガド博士の電磁場が実験室を満たすぐらいのレベルである
のに対し、ハープ・システムが作り出す電磁場はアメリカ西部の大きな州をまるごと覆って
しまうほどの規模ということなのだ。技術が進展すれば、北半球全体を覆ってしまうと
いうようなことも実現しかねない。
このような技術が実現した場合は、基本的にいってハープ型送信器は地球が自然に
発しているのと同程度の強さの電磁波を発信していることになる。ということは、
デルガド博士が開発したワイアレス方式によるマインドーコントロールに利用するものの
50倍に匹敵するエネルギ−が介在するということになるのだ。
ハープが発信する電磁波が北半球全体を覆うようなことになれば、発信される低周波の
副産物としてか、あるいは意図的なものかは別として、きわめて広範囲において人々の
精神活動を混乱させることが可能になるのだ。
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■■■照射された電磁波によって生理学的反応を起こす■■■
ハープ関連の文書を読んでいてもうひとつ重要なファクターだと恩われるのは、
サイクロトロン共鳴がもたらす影響である。サイクロトロン共鳴はハープ・システムの
放射エネルギーと密接に間係している。
サイクロトロン共鳴によってもたらされる影響は、特定の条件下で電碓層や地上生物に
起きるさまざまな反応が増幅されるということである。
生きている細胞はその内部に多くの荷電粒子を含んでおり、サイクロトロン共鳴は、
その粒子のイオン化を促進したり、動きを早めるという形でエネルギーの移送を起こす。
地球の磁場作用とあいまって、低周波で満たされた電磁場が生体に対する影響を起こすのを
助けるような役割をするのが、このサイクロトロン共鳴という現象なのである。
特定の素粒子が一定の周波数の電磁渡と共鳴したとき、生体に対する影響が発生する。
その一定の周波数帯とは、地球の磁場を満たしている1〜100ヘルッの低周波なのだ。
サイクトロン共鳴の様子をビジュアル化するならば、素粒子がコイル状に巻かれた
バネのような軌跡を描きながら運動し、やがて細胞壁を突き破って細胞の中に
飛ぴ込んでいく、といった感じだろうか。
こうした運動によってもたらされる効果は、電気的手法を使った医学の根本的概念を
形成するものである。非電離放射線(エックス線やガンマ線のように物質を構成する
原子をイオン化するほどのエネルギ−を持たない放射線。光、電波などもこれにあたる)
においてもこのような効果が起こるという現象は、
サイクロトロン共鳴によってある程度の説明がつくといえるだろう。
別の言葉を使うと、サイクロトロン共鳴によって体内物質の相互作用が活発になるような
環境が出来上がり、その結果として化学反応や生理学的反応が起きるということだ。
生体に向かってコントロールされた電磁波エネルギーを照射するということは、人の脳の
動きを活発にすることも、その逆に悪影響を与えることも可能にするのだ。つまり、
エネルギー照射は人の健康を意図的に良化させたり、
悪化させたりすることができる技術であるということになる。
サイクロトロン共鳴の概念は、海軍医学研究局による研究にも取り入れられることになった。
彼らは外部装置を使って、実験用のネズミの脳内に化学変化を起こすことに成功した。
当然のことながら、同様の効果が人間に対しても期待できるわけだ。
海軍による研究は、脳内に自然発生するリチウム・イオンに悪影響を与え、
動物がリチウムを投与されることによって起きる化学反応と同じような効果を生む
ことができるという可能性を示したことになる
(リチウムはしばしば強力な抗鬱剤として用いられる)。
別の言い方をすれば、自然に体内で分泌される化学物質と同調あるいは共鳴を起こすような
電波を放射すれば、体内にある化学物質が変質を起こし、その化学物質を大量に
投与されたのと同じ反応を得ることができるのである。
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■■■低周波は、電磁波兵器として利用できる!■■■
軍部は、こうした知識を戦場で敵軍に対して活用するかもしれない。戦場において敵軍兵士
に飲料水や空気を通じて、微量の中毒症状を起こす基となる化学物質を摂取させ、そのあとに
この化学物質と同調するような周波数帯の電波を照射する。
そうすれば、効果は絶大なものとなろう。体内にある化学物質はそのままでは中毒症状を
起こすほどの量ではないが、電磁波を照射することによって実際にはかなり重度の中毒症状を
引き起こすことが可能になるのである。
こうした行為は、化学兵器の使用を禁じた国際条約に抵触せずに、化学兵器戦を行うのと
同じ効果を生むということになろう。実際のところ、こうした技術は空軍の書類にも
明記されているものなのだ。
この技術のよりよい利用法としては、微量の化学物質を体内に注入し、これに同調する
ような周波数帯の電磁波を当てて体内の化学物質のバランスを立て直すといったような
内容の治療法が挙げられるだろう。
残念ながら、軍部による技術開発はまちがった目的のもとに行われている。合衆国政府に
よって管理されている研究は、能力開発とか精神障書の治療を目指す人々には
アクセス不可能となっている。今日の世界の現状を考えるにつけ、
こうした事態は残念といわざるをえない。
ハープの施設が発する電磁波の種類は、人間の精神や身体機能に一番影響を与えやすいと
されているものなのだ。これは多くの研究者が指摘している事実である。ところが、
ハープに関する書類には、こうした事実がいっさい明らかにされていない。
こともあろうにハープの環境アセスメントの文書においてもなにも触れられていないのだ。
軍部の態度は、大いに間題とされるべきである。
デルガド博士のチームがスペインで研究していたのは、電磁波の照射によって、動物の行動
を管理したり、バクテリアの成長を抑制したり、かたつむりの移動のパターンを変えたり、
ネズミの体内における骨組織損傷の治癒への影響を調べたりするものだった。
電磁波を便った実験においては、きわめて悪影響が観察されることもしばしばだった。
ミバエの遺伝子における突然変異、鶏の胎児の奇形化などがその例として挙げられる。
こうした事実から推測できるのは、電磁波が生物の遺伝子に影響を与え、
やがてそれが奇形という形で現れるということである。
このような技術が人間に対して便用されたら、間題は非常に深刻なものとなろう。このよう
な形で行われる電磁波照射には体内に熱を発生させる熱効果があるのは以前からわかっていた。
そして、大量放射さえしなければ無害に近いという仮定のもとに実験が行われてきたという
歴史がある。
しかし、軍部の研究も含めて現在の調査研究によると、電磁波の照射が人体に対して決して
無害とはいい切れないのだ。よきにつけ悪しきにつけ、きわめて弱い電磁波が人体に及ぼす
影響というものに注目が集まりはじめている。
利用法そのものはさておき、電磁波に無限に近い可能性があることだけはわかっている。
医学・科学・産業的利用法、そしておそらくは軍事的利用法に関する研究ももっと
進んでいくだろう。専門家たちの間では、電磁場が健康や脳の機能を破壊するような
目に見えない武器になってしまうのではないかという懸念が湧き上がっているのだ。
■■■政府の定めた電磁被照射の基準は安全ではない!!■■■
デルガド博士の研究は、それだけを切り取った形で見ると、危険だという実感は湧いてこな
いかもしれない。しかし、1984年に発表された環境保護庁の文書によると、電磁波放射に
さらされた実験動物の血球値、免疫系、神経系、そして行動に影響が観察されたとなっている。
実験動物に起きた変化のほとんどは、政府が定める安全基準内の電磁渡照射でも起きているの
である。
この事実に目をつけたのが海軍調査研究所である。プロジェクトの推進者たちは、ハープが
人体にとってまったく無害なものであり、その証拠に政府が定めた安全基準の中で施設を運用
していくという事実をことさら強調するのだ。
ところが、アメリカで定められている安全基準というのはロシアにおけるそれの1000分
の1程度といってもいいほど緩やかなのである。同じ技術に間して、両国の安全基準が
ここまで違うのはなぜなのか?
海軍は6か所の研究所を提供し、デルガド博士の研究を〃プロジェクト・へンハウス〃とい
う形で支持した。このブロジェクト名は、例の奇形の鶏の話からとったものである。
1988年、この研究の成果が生体電磁気学協会の会合で発表された。
国際的に行われていた実験に参加した研究所のうち数か所から、「低い出カレベルで
放射された低周波の影響により、鶏の胎児に異常が発生したことはまちがいない」という
内容の報告が行われた。海軍も研究費を支払って参加した実験により、低レベルとはいえ、
電磁波照射が健康に害を与える可能性があることがはっきりしたのである。
海軍は世界規模で進む非電離放射の研究の存在を無視できなくなった。
そこで海軍調査研究所は現存するすべての非電離放射に関する文献を取り揃え、1974年に
初の研究要録を発行した。
この文書は、現在、年間何千種類という単位で発行されている報告書の礎を築くことに
なった。膨大な量の報告書は、有益・中立・害があるものというように選別を受け、
すでに知られている技術との関連、それによってもたらされる効果のすべてが書かれている。
ここで強調しておきたいのは、ハープの計画者たちは膨大な量の研究資料からほんの少しの
部分を抜き出してハープの環境アセスメント文書を作成し、発表したということなのである。
彼らの電離層加熱装置を便って達成できる出カレベルを考えたとき、これはとても正しい行動
とはいえない。
よい弁護士とは物事の両面を見て、自分の立場に有利な事実のみを挙げていくという手法を
とる。この論理が正しいとするならば、ハーブの計画者たちもきわめて有能な弁護士になれる
素質がある。
自分たちが推し進めている計画には、人間の体に対する悪影響の心配などまったくない
といって国民を安心させる一方で、ハープ・システムの武器としての能力を求める一団には
その部分を強調した資料のみを見せながら話を進めて聞発予算を勝ち取るという方法を
取ってきたのである。そしてハープの場合、いまだ隠されている部分は多いと
考えたほうがいいだろう。
カリフォルニア州ローマ・リンダにある復員軍人病院の神経朴学者、ロス・アデイ博士は
動物の脳波に操作を加えることが可能なのを証明した。外部装置から発信される電波信号に
脳波が同調すると、学習効呆の上昇を合む行動の変化が起きるのだ。
彼はスザンヌ・ボーウィン博士と共同して、研究の内容をさらに進化させた。この共同研究
において、細胞の表面に付着する形で存在しているカルシウム・イオンが神経組織にも
検知されないくらいの徴弱な電磁渡によって作用を受け、細胞内に化学反応を起こすという
事実を発見した。
この事実が意味するのは、思考や健康に影響を与えるような化学反応を起こすために必要と
なるのはごく微弱な電磁波であり、知識と手段があればだれにでも可能だということ
なのである。ハープに深い考察を加えるためには、この事実は非常に重要となる。
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■■■ハープは〃非殺傷兵器システム〃■■■
「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙に〃非殺傷兵器(ノンーリーサル・ウェポン)〃
に関する長い記事が掲載されたことがある。この記事では、レーダーや通信システム
その他の電子機器の機能を麻痺させるような新しい武器の存在が明らかにされていた。
この記事の中では、かつてプッシユ政権で軍事顧問を務めたこともある
リチャード・トレフリー中将の談話も盛り込まれており、そこには次のように書かれている。
「そうした技術はすでに実現している。しかし、この技術について記事を書くということは、
機密情報の漏洩に抵触するかしないかといった一線の上を歩いていることになる」
この種の新しい武器システムを作るため必要だった技術は、10年前には存在していなかった
と記事には書かれている。さらに、新技術開発の計画全体は1982年に立案されたもので
あり、装置の完成と実用化は1990年代中ごろまでに達成されるべきとされていた。
非殺傷兵器の開発にもっとも尽力した人物のひとりといえば、ジョン・アレキサンダー
である。彼は軍事情報誌「ミリタリー・レビュー」に〃精神という新しい戦場〃
というタイトルがつけられた記事を書いている。
アレキサンダーが書いた記事には、
直接体に触れない形で操作する形式の、脳の生電気的機能に
作用を及ぼすことができるような武器システムの概念が説明されている。
軍部はこれに注目し、この分野の研究が開始されたのである。
アレキサンダーは非殺傷兵器開発の先駆昔のひとりだった。
彼は当時ロス・アラモス国立研究所で仕事をしていた。
はっきりとした形で解明されていない科学分野や超心理学に強い興味を
抱いていたアレキサンダーは、ジヤネット・モリスと共著という形で
マインド・トレーニングに問する本も書いている。
アレキサンダーは、これらの新型兵器を実際に使用するに当たっては
間題が持ち上がるだろうことを予想していた。
新型兵器システムの中には、国際条約に抵触するような技術を
登用したものもあったからだ。
さらに、”非殺傷”という言葉が持つ響きに憂慮を感じる人の数が次第にに増えていき、
この種の兵器を使用することによって紛争状態が一層悪化してしまうのではないかという
懸念が一般化してしまったのである。
ペンタゴン内の非殺傷技術研究班は、こうしたタイブの武器開発のためには
全力が注がれるべきであると判断し、
ちょうどレーガン大統領が〃SDI(戦略防衛構想)〃の開始を華々しく宣言
したように、新しい兵器システムの開発に着手したことを発表するようブッシュ大統領に進言
したのである。
軍の上層部は、このようなことが大統領の日から直接発せられるということによって他国が
アメリカの兵器システムに対抗するような形で開発に着手するような状況を生みかねない、と
難色を示した。
また、政策決定権を握っている人々が軍部のブロジェクトにまで口出しをしてくるような
状況を避けたいという腹づもりもあった。かくて軍部の意向を汲み取る形で、
新兵器開発ブロジェクトは何層にもわたる秘密のベールで覆われることに
なってしまったのである。この結果、ジャネット・モリスとレイ・クラインは部外者として
はじき出された。政治の分野では、この新しい兵器システムを〃非殺傷技術〃という
言葉ではなく、より響きが柔らかい〃無力化システム〃という言葉で呼ぶよう
取り決めがなされた。
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■■■電磁被のリスクを認識していなかったアメリカ■■■
新技術開発レースはすでに始まっており、アメリカが敵国と見なしている国々は、アメリカ
を数歩リードしているかのようだった。それでアメリカ国内における電磁波の安全基準は、
ソ連のそれの1000倍の数値に設定ざれたのだ。ソ連の安全基準がアメリカよりも厳しかった
理由は、西側諸国が気づいていなかった生体への影響を考慮したためだと考えられる。
ソ連は、1950年代においてアメリカが電磁渡の安全基準を設定したときに、
その基準の基としたサーマル・モデル(電磁波が生体に及ぼす影響は電磁波を浴びたときに
生ずる熱効果によるものとする説)を完全に破棄したのである。アメリカはこの
サーマル・モデルに則って安全基準を設定しそれを民間が基準として採用したのである。
このサーマル・モデルという仮説は生体を衰弱させる要因としては、電磁波の持つ熱効果
のみを認め、低レベルにおける電磁渡放射が地球の磁場と連動する形で生体に及ぼす
多大な効果を無視するのである。
ソ連の研究家たちは、アメリカでは安全とされる基準内であっても、電磁場の作用によって
心拍のリズムや血圧、そして新陳代謝に影響が出ることを知っていたのである。
加えて、ソ連の科学者、A・S・プレスマンはこういっている。
「電磁場の作用により、人間の視覚や聴覚、そして触覚に関する影響も生み出すことができる。
これは動物の情緒面に変化をもたらすのとまるで同じメカニズムで起こることで、人間を
睡眠状態からてんかんを起こすくらいの興奮状態に至るまで操作することが可能なのだ」
プレスマンはさらに、胎児から成人に至るまで、すべての段階において電磁場が及ぼす
悪影響の可能性について説明を加えている。
低レベルの電磁場においても、奇形の発生や死、その他の機能障書を引き起こすような
遣伝子の障害が起きるかもしれないという概念そのものが間題だったのである。
医学知識の欠如、最新設備を便った実験でも理解できないもの、それがリスクを
認識するための障害として横たわっていたのである。
人間を含む地球上の生物に本当の意味での被害をもたらすのは、ハープのような電磁波発信器に
ほかならないということなのだ。しかし、こうした恐ろしさがある反面、電磁波放射に関する
知識を積み重ねていけば、まだまだ有効的利用の余地が残されているというのも事実なの
である。
■■■アメリカ大使館が,電磁被攻撃を受けていた?!■■■
1960年代から1970年代にかけて、モスクワのアメリカ大使館に向けてマイクロ波の
ビームが照射されているという情報があった。ビームの照射は1983年まで続けられていた
とする説もある。ビーム照射については、長年の間さまざまな憶測が飛ぴ交ってきた。
この件について合衆国政府はすべてを明らかにしてはいないし、事件についての情報も
大部分が機密扱いを受けている。マイクロ波照射が人体に与える影響として考えられるのは、
健康障害とマインド・コントロールが挙げられる。
アメリカ政府は1965年に、マイクロ波の照射によって影響を受けているかもしれない
モスクワの大使館員たちに対して遺伝子に障害を受けていないか調査を開始した。これと同時に
〃オペレーション・パンドラ〃というプロジェクトを始動させ、同じタイブのマイクロ波を
猿に照射して影響を見きわめようという実験が行われたのである。
政府は、表向きにはマイクロ波によって悪影響はないという立場を貫き通していた。しかし
その一方、〃オペレーション・パンドラ〃の猿やモスクワのアメリカ大便館員たちに対する
検査の結果は極秘扱いを受けていたのだ。
ロシアが照射していたマイクロ渡による効果のすべてはわからなかったが、やがてなんらか
の影響があったことは大いに考えられるということになった。これに関して〃MKウルトラ〃
と名づけられたプロジェクトのCIA側責任者、ゴットリーブ博士が議会で証言を行ったこと
がある。
それによると、1971年に当時のニクソン大統領がソ連を訪れたとき、随行団の一員が
急にふさぎ込んだり、泣き出したりという異常な行動を見せたという。ソ連がすでに
マイクロ波ビームの照射技術を確立させていたことを知らない諜報間係者はおらず、
この技術によって精神状態や記憶能力、そして健康状態に影響が出ることもわかっていた。
ソ連の研究は、当時の水準においてさえ、幻覚を引き起こしたり、人間の知覚に対する変化
を起こすという可能性を追求するところまで達していたのである。
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■■■アメリカ政府が行っていたマインド・コントロールの人体実験■■■
CIAによるマインド・コントロール技術の登用は今に始まったことではない。CIA主導
で行われた記憶力に間する実験を行った〃MKウルトラ〃プロジェクトは、アメリカ中の
180にのぼる病院や研究所、そして刑務所を巻き込んで、
何千人という被験者に対して行われたものだった。
上院による調査によれば、CIAはLSDやその他の薬物を便って洗脳、感覚遮断、催眠と
いったマインド・コントロール技術を実用化するための実験を1976年まで続けていたこと
が明らかになった。ブログラムの名称や方法論は変わったかもしれないが、こうした実験が
1976年以降も続けられていた可能性は高いということができるだろう。
一方ソ連は、〃精神戦争〃とでも呼ぶべきテクノロジー開発においてはアメリカを大きく
リードしていた。すでに〃Lida〃という名前の超長波パルス発生装置を売成させていたので
ある。Lidaは捕虜をトランス状態に陥らせ、情報を収集しやすくするような状況を
得るため利用されたらしい。
この装置はアメリカ国内において復員軍人病院の神経外科医ロス・アデイ博士によって
テストされている。このころ、ソ連の科学者たちは、ほんの少し脳に操作を加えること
(前頭葉から後頭葉の方向へ向かって微弱な電流を流すこと)によって深い催眠効果が
得られることを発見していた。
数々の実験によって得られた結果により、〃テレバシー催眠〃とでも呼べるような技術が
完成していたのである。こうした技術を便えば、何百マイルと離れた地点からでも
標的となる人物を催眠状態に落とし入れることが可能となる。
ソ連側の技術は、1975年までに格段の進歩を遂げていた。そしてこの年から、
彼らは巨大な電磁波発信器を用いて3・26〜17・54メガヘルツという
周波数帯の電磁波を放射しはじめたのである。
主要な周波数帯は6〜11ヘルツに設定されていた。この周波数帯の電波は、
中心的な脳波と同調する。やがてこの特殊電波は、アマチュア無線家の間で
〃ロシアのキツツキ〃と呼ばれるようになった。この周渡数帯の電渡は、
ハープとまるで同じように、対潜水艦通信のために使用されている可能性が高かったが、
この電波によってもたらされるかもしれない人体への悪影響は
ロシア側の意図的なものであるという噂がもっぱらだったのだ。
■■■軍関係者が目を付けたマインド・コントロール技術■■■
ところで、軍部がハープ・システムを使ってパルス化した電磁波を放射するという明確な意図を
明らかにしていることを忘れてはならない。電磁波の放射方法とその波形によっては、
人間や動物に多大な悪影響が出ることは目に見えているのだ。
実験室における実験、その他管理された形で行われる実験の内容にさまざまな媒介変数を
付加することによって、ハーブには精神操作性や人体の生理的な機能に対する悪影響や
マインド・コントロールを実現する能力が備わるのである。
軍部は、こうした技術のエキスパートといっても過言ではなかろう。
ポール・タイラー大尉は1970年から1977年にかけ、
海軍による電磁波プロジェクトの責任者を務めていたが、
1985年2月号の「オムニ」誌には、電磁波放射がもたらす影響についての彼自身の
コメントが掲載されている。
「化学的手法によって起こすことができる現象は電気的手法によっても起こすことができる。
たとえば、目的に応じた形の電磁場作用を利用すれば、向精神薬を便用したのと同じような
効果を得ることも可能だろう」
こうした概念にいち早く目をつけたのはCIAだった。やがてこの技術分野に最初から
関わっていた研究者たちは、軍部による人間の行動を管理するという目的のための研究のため
多忙な日々を迎えることになったのである。人間の行動を管理する技術、というのは、
軍部にとって非常に有益な目的だった。
空軍でも同様の研究が進んでいた。ここでの主要人物は、アーサー・ガイである。彼は空軍
との契約において、『電磁波放射線量測定法の手引書』という本を完成させるために知識を
貸した。この本は、兵器システム完成のために必要なさまざまな知識を網羅していた。
また、この本にはガイのワシントン大学における研究に関しても述べられている。
ワシントン大学の研究において、彼はネズミを低レベルの電磁波にさらすという内容の実験
を行った。この電磁波照射によって起こった反応は、免疫力の低下および腫瘍の出現だった。
照射が行われていた動物の体内にできた腫瘍は、照射を受けていなかった動物の4倍の早さ
で大きくなっていった。この研究は、アメリカ政府が定めた安全基準の20分の1という
出カレベルで行われたにも関わらず、こうした結果が出るに至ったのである。
電磁波照射に関する研究は、その後も世界中で行われることになった。
ドイツ化学アカデミーも独自に行った低周波研究の成果を発表した。その結論は、
「超長渡は特定の条件下では生体の細胞に影響を起こす」という内容だった。
この章では電磁波照射技術の現在の姿、そしてそれが人体に与える影響について、さらには
ものすごいスピードで進む技術の発展について見てきた。そしてわかったことは、
かつては知られていなかったような効果、あるいはよく理解されていないような効果が
あるという事実である。
こういった最新技術を取り囲んでいるのは、その技術が便えるか便えないかという
間題ではなく、その技術によってもたらされる影響についての無知でしかないのだ。
科学者達は自分の専門分野に埋没してしまいがちだ。それに加え、基礎研究というのは
遅れるのが宿命とさえいっていい。ときとして完成までには何十年という歳月が必要な
基礎研究もあるぐらいだ。
こうした過程を経て初めて、基礎研究が応用技術に転化されるのである。基礎研究の進行が
遅い理由は、脈々と受け継がれてきた伝統的な規範が思実に守られているからだということも
できるだろう。
ハイテク防衛産業にしても、医療に携わっている人々にしても、まったく新しい研究が
根付くにためにはかなりの時間が必要となる。現在のところ、軍部は電磁波技術を
兵器システムに登用するための権力を一手に握っている。彼らが最新の技術を人道的に
有効な手段に使用するとはとても思えないのだ。