同性愛関連サイトは有害か有益か?

ケータイサイトは規制すべき──乖離する子どもと親の認識

中井 伸二(2008-06-24 05:00)
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 未成年者は、どの範囲までケータイサイトを見ても良いのか。これまで、ケータイ事業会社によって対応がまちまちだったフィルタリングサービスのカテゴライズ、および適用の有無を、適切に一本化しようとの取り組みが進んでいる。ケータイサイトの評価基準を策定・認定するのは、総務省検討会の肝いりで設立された第三者法人機関「モバイルコンテンツ審査・運用監視機構(略称:EMA)」だ。

同性愛サイトにも有益なものがある(画像はイメージ)(撮影:中井伸二)
 現在EMAは、いわゆる「ブラックリスト方式」に基づいたフィルタリングサービスのカテゴライズを検討中で、広く一般から意見募集を行っている。つまり、本来は有益なサイトなのに、実際は閲覧制限されてしまっているケースを洗い出すことで、形式的なカテゴライズによって、有害か有益か、実態上の配慮なく一律にフィルタリングの対象とされてしまう不備を正そうとの狙いがある。

 ある意識調査によると、規制すべきケータイサイトとして、15歳~18歳の少年少女の認識と、親の認識で、最も違いが大きいのは同性愛関連サイトで、その認識差は40.5ポイントに達している(規制すべきと答えた少年少女:47.3%、親:87.8%)。調査主体は、この結果をBL(ボーイズラヴ)ブームの影響が10代の意識に反映されたものと分析しているが、「同性愛関連サイトの規制は必要ない+あまり必要ない」と考える少年少女が41.7%(親10.1%)に達するとのデータ(同意識調査)を考え合わせると、別の解釈も成り立つ。

 思春期の真っ只中を生きる少年少女の4割近くは、同性愛への関心、同性愛かもしれないといった悩みなどから、さまざまな意味で同性愛関連サイトへのアクセスを、むしろ求めているのではないだろうか。

 学校裏サイトなど子どもたちが行き交うネット世界の一角では、陰湿なイジメが横行していると言われるが、同性愛の子どもたちの多くは、社会の同性愛に対する「未理解」状況が続く中にあって、イジメられる対象になることをひたすら恐れながら自我を埋没させ、あるいはときに自殺を念慮するなど、甚だしい精神的苦痛に喘いでいる。

 たしかに、同性愛関連サイトの中には、いわゆるアダルト系に分類するべき、露骨・過激なコンテンツを売り物にするところもある。しかし、全ての同性愛関連サイトが有害なのではなく、中には少年少女の性の告白を聞き、彼、あるいは彼女らの悩みを癒すサイトも存在する。また、LGBT(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)について正しく解説しているサイトや、「セクシュアリティー(性的指向)は男女二元論ではなく多様であり、グラデーションを成すように分布している」ことなどを丁寧に説明しているサイトもある。

 親が神経を磨り減らし、子どものインターネットアクセスを闇雲に制限するだけでは、健全な成長はもたらさない。一方、一切を放任し、子どもが不幸になってしまうのを看過することも絶対にあってはならない。

 ヒステリックで画一的な有害サイト排除論を退けるとともに、冷静にインターネットリテラシーを蓄え、ネットサイト評価の公正な判断意識を高めてゆきたいものである。

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