閉店が決まった横浜松坂屋。夕方になると、店舗前は買い物客や帰宅する人たちの往来でにぎやかになった=横浜市中区伊勢佐木町1丁目開店当時の野沢屋呉服店伊勢佐木町支店の店内(「実業之横浜」から、横浜開港資料館所蔵) ※写真をクリックすると拡大します
Jフロントリテイリングは24日、傘下の松坂屋の子会社、横浜松坂屋(横浜市中区)を10月26日に閉店すると発表した。横浜松坂屋は不振が続き、築後80年以上を経た本館は老朽化が目立っていた。長く経営課題だった店舗の統廃合に区切りをつけ、松坂屋は直営8店に経営資源を集中する。
「商環境の変化により売り上げは減少の一途で、これ以上維持することは困難」。24日夕、横浜松坂屋で会見した松坂屋の茶村俊一社長は、売り上げ減と施設の老朽化を店舗閉鎖の理由に挙げた。
横浜松坂屋は1864(元治元)年創業の呉服店をルーツとする老舗(しにせ)百貨店。立地する伊勢佐木町近辺から横浜駅前に人の流れが移った影響などで客数が落ち、百貨店事業は84年2月期以来、25期連続で営業赤字が続いていた。
95年に閉鎖した西館には不動産収入を見込んで場外馬券売り場の誘致を目指したが、地元の反対などで開業は00年までずれ込んだ。03年2月には東証1部への上場を廃止、松坂屋が完全子会社化した。
松坂屋の店舗再編は、業績不振を理由に04年に閉鎖した直営店の大阪店(大阪市中央区)、くずは店(大阪府枚方市)以来。横浜松坂屋の本館は、低階層の商業施設に改め、スーパーなど別業態での収益力強化を目指す。マンションやホテルを含めた複合施設への建て替えも検討する。
本館前の路上はフォークデュオ「ゆず」が、デビュー前に路上ライブで人気を集めた場所として知られる。場外馬券売り場は営業を続ける。
Jフロントはまた、「大丸ピーコック」「松坂屋ストア」など傘下のスーパー4社について9月1日付で統合することを決めた。