キノの旅

―the Beautiful World―


 

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著者 : 時雨沢 恵一

ジャンル : 旅(ファンタジー)

出版社 : 電撃文庫

ページ数 : 250前後

価格 : 500〜600円


評点 : 80点

Amazonレビュー : おすすめ度 平均4.5

現在シリーズ継続中


<作品概要>

――世界は美しくなんかない。そしてそれ故に、美しい――

道の真ん中を、一台のモトラド(注・二輪車。空を飛ばないものだけを指す)が走っていた。
モトラドの運転手は旅人である。
大きな瞳に精悍な顔つき、頭には鍔と耳を覆う垂れが付いた帽子を被り、その上に外したゴーグルを乗せていた。
茶色いコートを羽織り、余った裾を太ももに巻きつけている。

「見えてきたよ」
運転手がモトラドに話しかけました。
「次はどんな国だろうね」
モトラドが運転手に聞きました。
「行ってみればわかるよ」

旅人キノと話す二輪車エルメスの旅の話。
連作短篇の形で綴られる、新感覚ファンタジーノベル。

 

<レビュー>

この小説は所謂『冒険モノ』とは異なり、『旅』の話である。
だから物語の主人公であるキノもまた『旅人』であり、『冒険者』とは立ち位置が異なる。
訪れた国の人々に対しては常に一歩引いたところから、あくまで第三者として接する。
そしてその傍観対象である物語中の人々とは、現実をデフォルメしたものであり、キノから見た『どこかおかしな人々』の描写とはつまり世間を皮肉っていることに他ならない。
そのため、文章自体は絵本のようだし世界観もファンタジックであるにも関わらず、読んでいてどこか痛快さがあって面白い

ただ、前の話を引きずらないのがこのシリーズの良いところでもあるのだが、さすがに9巻も10巻もそれが続くと(例え一話一話が違うものであっても)同じことの繰り返しに思えてきて、正直飽きてきてしまった感がある。
また設定やストーリーは面白いが、著者の描写力自体はあまり高いとはいえない(特に初めの2,3巻)。

2006.10.21


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