近頃、ぶどう畑の所有者自身による醸造、瓶詰めされたものが、個性あるワインとして重要視されています。それらのほとんどのものは、“
mis en bouteille a la propriete"(所有者元詰め)、 とか“ mis
en bouteille au chateau"(シャト-元詰め) とか、“mis en
bouteille au domaine"(ぶどう畑所有者元詰め)
と書かれています。
フランスのワイン法では、"PROPRIETE(プロプリエテ)","DOMAINE(ドメーヌ)",の語はエステートワインのみに認められた言葉です。ひとつの目安として知っておいても損はしません。
それに対して、ネゴシアンワインは"mis
en bouteille par region de
production"(生産した場所での元詰め)や"mis en
bouteille par calvet negociant-eleveuur"(ネゴシアン醸造者カルベ社による元詰め)などと記載されていて、わざと紛らわしくしたものが多く混乱させています。
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わかりやすいラベルの例 赤線部分が生産者元詰めの意味 |
時々目にする生産者元詰めマーク |
一般的には、生産者元詰め品の方が個性的なものが多く、最高級品はほとんどがこのタイプです。ネゴシアンワインの多くは、生産者から余ったワインを樽買いしてブレンドして混ぜて造るのでどうしても土地の個性が薄れがちです。
以前とあるボルドーの有名な大手のネゴシアンが他地区の安物ワインをボルドーワインに混ぜてボルドーAOCとして売った事が判明して大スキャンダルとなりました。
ただし、元詰め品を造る生産者も管理や技術が低く、ひどいワインを造るところもありますし、ネゴシアンの中でも例えばルイ・ラトゥールやルイ・ジャド、Jドルーアン、オリビエ・ルフレーブのように素晴らしい技術を持って地元の生産家と契約し、指導してその地域のトップクラスのワインを造り出すネゴシアンも存在します。大切なことは、やはり良い生産者を知ることです。
ドイツ・ワインでは、“ERZEUGERABFULLUNG"(エアツォイガーアプヒュルンク) という文字がこれにあたります。 これらのものが全て優秀なワインであるとは限りませんが、最高級のワインは全てこのワインです。《ドイツワインの場合、そうでないものには“Abufuller"(アプヒュラー) もしくは“abgefullt durch"(アプゲフェルト・ドゥルヒ) と記されています。》