両肩ムキ出しのタンクトップに、へそ出しのパンツスタイル。21日の巨人−ソフトバンク戦(東京ドーム)の始球式に出てきた歌手倖田來未の格好は、およそ式には似つかわしくなかったが、まあ、この人なら仕方ないかという気もした。しかし、無視できないのは高さ10センチほどもあるピンヒールを履いていたことだ。
グラウンドキーパーが一生懸命整備したマウンドに穴でもあけるつもりなのかと驚いた。取材でグラウンドに入る女性の記者やアナウンサーでも、ハイヒールはご法度だ。倖田は中学時代、男子にまじって野球部の二塁手として活躍したという。周りの声におされて、グラウンド整備の苦労を忘れてしまったのだろうか。
この始球式は「ライトダウンキャンペーン」の一環として、ファンにも節電を呼びかけるものだった。趣旨には賛同できるが、芸能人の彼女が適任だったのか。本来神聖なはずの始球式はいまや日常のイベントとなり、大胆に肌を露出した女性タレントの、お色気の競演と化した。おかしな時代である。
かと思えば先日はヤフードームの始球式で、お笑い芸人の小島よしおが海水パンツの半裸で打席に立ったり「そんなの関係ねえ」のギャグを披露した。大リーグではたまに芸能人を起用することはあっても、ナンセンスな笑いを持ち込むことなどあり得ないという。日本の始球式は野球全体をなめているような印象さえある。
体を張るべき戦場で、チャラチャラしたタレントや芸人に先にマウンドや打席に立たれては、選手もいい気持ちはしないだろう。それでも営業優先で安易な始球式を続けるのなら、せめてスタイルや履物を指定するぐらいの配慮が必要だ。(今村忠)