【発明の名称】 |
痛み計 |
【発明者】 |
【氏名】安藤 詳子
【氏名】水野 敏子
【氏名】白山 直樹
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【要約】 |
【課題】痛み計本体を外部のデータ処理装置まで運んで接続しなくても、複数の被験者の痛みに関するデータが記録された着脱可搬型のメモリーのみを、外部のデータ処理装置に運んで接続し、データ転送することによって、外部のデータ処理装置で各被験者の痛みに関するデータを処理することが可能な痛み計を提供することを課題とする。
【解決手段】痛み計1は、複数の被験者の痛みに関するデータが記録された着脱可搬型のメモリー21を痛み計本体から取り外し、このメモリー21のみを外部のデータ処理装置まで運んで接続すれば、痛み計本体を外部のデータ処理装置まで運ばなくても、複数の被験者の痛みに関するデータを同データ処理装置で解析処理することができる。これにより、痛み計1は拘束されることなく、被験者の痛みレベルの測定に使用することができる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 被験者が感じている痛みを客観的に測定するための痛み計であって、 被験者が感じている痛みの程度を被験者本人が入力するための入力手段と、前記入力手段に入力された当該被験者の痛みの程度を痛みレベルとして判定する痛みレベル判定手段と、前記痛みレベル判定手段により判定された痛みレベルを表示する表示手段と、前記被験者を識別する識別コードを入力する識別コード入力手段と、年月日と時刻を含む日時データを出力する時計手段と、前記被験者の識別コードと前記日時データと前記痛みレベル判定手段により判定された痛みレベルとの各データを着脱可搬型のメモリーに記録するデータ記録手段と、を備えたことを特徴とする痛み計。 【請求項2】 請求項1に記載の痛み計であって、前記着脱可搬型のメモリーに記録された各被験者の痛みレベルに関するデータを前記表示手段に時系列的にグラフィック表示するためのグラフィック表示手段を備えたことを特徴とする痛み計。
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【発明の詳細な説明】【技術分野】 【0001】 本発明は、医療領域、看護領域、心理学領域などにおいて、被験者が感じている痛みの程度を客観的に測定するための痛み計に関する。 【背景技術】 【0002】 従来、病院等で、看護師などが被験者(患者)の感じている痛みを測定する場合、図3に示したような痛み計50が用いられている。この従来の痛み計50には、被験者が感じている痛みの程度に対応した痛みレベルに応じて被験者の指を接触させる痛みスケール51が設けられている。痛みスケール51は、被験者が痛みを感じていないレベルから、我慢できないような強い痛みのレベルまで5段階の区分スケール52〜56が設けられ、更にそれぞれの区分スケール52〜56には、被験者の指を接触させる組電極a,bが設けられている。 【0003】 このように構成された従来の痛み計50を使用して看護師、被験者(患者)自身などが痛みを測定する場合、被験者が感じている痛みの程度に応じて、該当する区分スケールの組電極a,bに自分の指を接触させる。被験者が、例えば我慢できないような痛みを感じている場合、被験者は区分スケール56の組電極に自分の指を接触させると、被験者の指の湿分による皮膚抵抗を介して当該組電極a,b間に電流が流れ、当該組電極の電位が高くなるように電子回路が構成されている。これにより、痛み計50は、それぞれの組電極の電位をスキャンニング方式で検出し、最も電位の高い組電極を、被験者の指が接触されている組電極であると判断したうえ、その組電極が設けられた痛みスケール51の痛みレベルを表示器57に数字で表示させるため、表示器57に表示された数字を見て被験者の痛みの程度を客観的に測定することができる。これらの痛みに関するデータは、痛み計50に内蔵されているメモリーに記憶されるため、複数の被験者の痛みに関するデータをデータ処理する場合、痛み計50を外部のデータ処理装置まで運んで接続し、痛み計50の内蔵メモリーに記憶されている複数の被験者のデータを当該データ処理装置に転送することが必要である(特許文献1参照)。 【特許文献1】特願2002−321863(発明の実施の形態欄) 【発明の開示】 【発明が解決しようとする課題】 【0004】 上記従来の痛み計50の場合、外部のデータ処理装置に接続し、内蔵メモリーに記憶されている複数の被験者のデータを当該データ処理装置に転送する場合、この痛み計50をこのデータ処理装置まで運んで接続しなければならず、このデータ転送期間中は痛み計50で被験者の痛みレベルの測定ができないため、使用効率が悪いという問題がある。 【0005】 そこで本発明では、それぞれの被験者の痛みに関する各データを着脱可搬型のメモリーに記録し、この着脱可搬型のメモリーのみを、複数の被験者の痛みに関するデータを処理する外部のデータ処理装置に接続すれば、痛み計本体を持ち運びしなくても、複数の被験者の痛みに関するデータを同データ処理装置で処理できるようにした使用効率の良い痛み計を提供することを解決すべき課題とするものである。 【課題を解決するための手段】 【0006】 上記課題は、特許請求の範囲の欄に記載した痛み計により解決することができる。 請求項1に記載の痛み計によれば、被験者が感じている痛みの程度を被験者本人が入力するための入力手段と、前記入力手段に入力された当該被験者の痛みの程度を痛みレベルとして判定する痛みレベル判定手段と、前記痛みレベル判定手段により判定された痛みレベルを表示する表示手段と、前記被験者を識別する識別コードを入力する識別コード入力手段と、年月日と時刻を含む日時データを出力する時計手段と、痛み測定時に前記被験者の識別コードと前記日時データと前記痛みレベル判定手段により判定された痛みレベルとの各データを着脱可搬型のメモリーに記録するデータ記録手段とを備えているため、各被験者の痛みに関するデータが記録された着脱可搬型のメモリーのみを外部のデータ処理装置に運んで接続すれば、痛み計本体を持ち運びしなくても、各被験者の痛みに関するデータをデータ処理することができる。これにより、外部のデータ処理装置で各被験者の痛みに関するデータが処理されている間でも、外部のデータ処理装置に接続されている着脱可搬型のメモリーとは別の着脱可搬型のメモリーを痛み計に装着すれば、この痛み計を使用して被験者の痛みレベルの測定をすることができるため、痛み計の使用効率を良くすることができる。 【0007】 請求項2に記載の痛み計によれば、前記着脱可搬型のメモリー記録された各被験者の痛みレベルを表示手段に時系列的にグラフィック表示することができるため、各被験者の痛みレベルの変化を時系列的に認識することができる。これにより、医師や看護師は、被験者の痛みの変化に基づいて、被験者の診断や治療、あるいは投薬等を適正に行うことができる。 【発明の効果】 【0008】 本発明によれば、痛み計本体を外部のデータ処理装置に持ち運びしなくても、着脱可搬型のメモリーに記録された複数の被験者の痛みに関するデータを当該データ処理装置に転送できるため、外部のデータ処理装置で各被験者の痛みについてのデータがデータ処理可能となる。これにより、外部のデータ処理装置で各被験者の痛みに関するデータが処理されている間でも、痛み計を使用して被験者の痛みレベルの測定をすることができることから、痛み計の使用効率を向上させることができる。 【発明を実施するための最良の形態】 【0009】 次に、本発明の実施の形態について説明する。 図1は、被験者が感じている痛みの程度を客観的に数値化して測定するための痛み計1の平面図である。 図1に示すように、痛み計1のパネル面には、被験者が痛み無しと感じるレベル(0)から最高の痛みと感じるレベル(10)までの痛みレベルに対応したそれぞれの位置に11個のスイッチ2A〜2Kが設けられており、被験者が感じている痛みの程度に応じた痛みレベルの位置のスイッチ2A〜2Kを被験者が自分の指で押下するものである。尚、このスイッチ2A〜2Kは後述するように各被験者の識別コードを入力する場合にも使用される。 【0010】 また、痛み計1のパネル面には例えばカラー液晶の表示器4が設けられている。この表示器4は、後で説明するように、痛み計1に内蔵されたマイクロコンピュータ10(図2参照)により判定された被験者の痛みレベル(0)〜(10)の色別数字表示、あるいは上記スイッチ2A〜2Kにより入力された各被験者の識別コードを表示する。また、測定された各被験者の痛みレベルを時系列的にグラフィック表示する。尚、図1では表示器4に痛みレベル(1)が例えば青色で表示されていることを示している。 【0011】 痛み計1の電源として、電池13が内蔵されており、電池13から出力された電圧を安定化し、痛み計1の各部に必要な電圧に変換して出力する電源回路14(図2参照)が設けられている。このため、電池13からの電圧を電源回路14に供給するための電源スイッチ7が痛み計1のパネル面に設けられている。 【0012】 また、痛み計1のパネル面に設けられたモード切替スイッチ3は、各被験者の痛みレベルを測定する測定モード、各被験者の識別コードを入力する識別コード入力モード、測定された各被験者の痛みレベルを表示器4に時系列的にグラフィック表示する履歴モードに切り替える場合などに操作される。 【0013】 図2は、痛み計1の電子的な構成を示した電子ブロック図である。 図2に示すように、痛み計1にはマイクロコンピュータ10が内蔵されており、マイクロコンピュータ10には着脱可搬型メモリー21が着脱されるメモリーコネクタ6が接続されている。尚、上記着脱可搬型のメモリー21には、後述するようにそれぞれの被験者(患者)の識別コード、判定された痛みレベル、判定時の日時データなどが記録される。このため、マイクロコンピュータ10には、年月日と時刻を含む日時データを出力する時計回路12が接続されている。 【0014】 次に、痛み計1の使用法を作用と共に説明する。 看護師が、被験者のもとに痛み計1を携帯し、被験者の痛みを測定する場合、看護師は、電源スイッチ7をオンしたあと、表示器4に表示された案内表示に従ってモード切替スイッチ3を操作し、被験者の痛みを測定するモードに切り替えた状態で、当該被験者の識別コードを前述のスイッチ2A〜2Kで入力する。この状態で、当該被験者の識別コードは前述の着脱可搬型のメモリー21に記憶される。このあと、それぞれの痛みレベルの位置に配設されたスイッチ2A〜2Kの何れか、例えばスイッチ2Fを、当該被験者が主観的に感じている痛みの程度に対応した痛みレベルに相当するスイッチであると判断して自分の指で押下する。この押下されたスイッチ2Fからオン信号がマイクロコンピュータ10に入力されると、マイクロコンピュータ10は、予め設計されたソフトウエアにより、痛みレベル(5)に相当するスイッチ2Fが押下されていることを認識することができるため、その被験者の感じている痛みが痛みレベル(5)であると判定し、表示器4に例えば黄色で5を表示させる。これにより、看護師は表示器4に表示された痛みレベル(5)を見て、被験者の痛みレベルを客観的に認識することができるとともに、被験者自らが色分け表示された数字を見て容易に自分の痛みレベルを認識することができる。また、マイクロコンピュータ10は、判定した痛みレベル(5)と、時計回路12から出力された日時データとを着脱可搬型のメモリー21に記録する。このようにして痛み計1は、順次、複数の被験者それぞれの痛みレベルを、識別コードと、時計回路12から出力された日時データとともに着脱可搬型のメモリー21に記録する。 【0015】 上記のように、着脱可搬型のメモリー21に複数の被験者の痛みに関するデータが記録された状態で、このメモリー21をメモリーコネクタ6から抜いて図示していないデータ処理装置に運び、接続されると、同データ処理装置に多数の被験者の痛みに関するデータが転送される。これにより、データ処理装置は、それぞれの被験者の痛みに関するデータを解析処理することが可能となり、このデータ処理により、各被験者の痛みの発生時期、痛みのレベルの変化が分かるため、医師や看護師は、被験者の痛みの変化に基づいて、被験者の診断や治療、あるいは投薬等を適正に行うことができる。 【0016】 このように、痛み計1を持ち運びしなくても、着脱可搬型メモリー21のみを外部のデータ処理装置に運んで接続すれば、当該データ処理装置でそれぞれの被験者の痛みに関するデータを解析処理することができる。これにより、データ処理装置で各被験者の痛みについてのデータがデータ処理されている間でも、外部のデータ処理装置に接続されている着脱可搬型のメモリーとは別の着脱可搬型のメモリーを痛み計1に装着すれば、痛み計1を使用して被験者の痛みレベルを測定することができることから、痛み計1の使用効率を向上させることができる。尚、着脱可搬型のメモリー21は、SDカード、あるいはUSBメモリーなどが使用される。 【0017】 また、医師、あるいは被験者が、痛み計1に記録された痛みに関する履歴データを見たいと思った場合、前述のモード切替スイッチ3を履歴モードに切り替える。この状態で、当該被験者の識別コードを前述のスイッチ2A〜2Kで入力すると、マイクロコンピュータ10は、表示器4に当該被験者の過去の痛みレベルを時系列的にグラフィック表示させることができる。これにより、それぞれの被験者について、痛みの発生時期、痛みのレベルの変化が簡易に分かるため、外部のデータ処理装置に依らずに、医師や看護師は、被験者の痛みの変化に基づいて、被験者の診断や治療、あるいは投薬等を適正に行うことができる。 【図面の簡単な説明】 【0018】 【図1】痛み計の平面外観図である。 【図2】痛み計の電子的な回路ブロック図である。 【図3】従来の痛み計の平面外観図である。 【符号の説明】 【0019】 1 痛み計 2A〜2K スイッチ 3 モード切替スイッチ 4 表示器 6 メモリーコネクタ 7 電源スイッチ 10 マイクロコンピュータ 12 時計回路 13 電池 14 電源回路 21 着脱型メモリー
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【出願人】 |
【識別番号】506349038 【氏名又は名称】株式会社サンコンパイラ
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【出願日】 |
平成18年10月17日(2006.10.17) |
【代理人】 |
【識別番号】100086520 【弁理士】 【氏名又は名称】清水 義久
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【公開番号】 |
特開2008−99757(P2008−99757A) |
【公開日】 |
平成20年5月1日(2008.5.1) |
【出願番号】 |
特願2006−283165(P2006−283165) |
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