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2008年6月24日

 昨今の「品格論ブーム」は現実社会の荒廃の裏返しだと本紙・北風抄で日本教育文化研究所長の森隆夫氏が書いている

教師の品格については「親しみやすいが、近づき難い存在」に尽きるという。魅力的だが近づくと山のような偉大さを感じる人のことである。親しみやすさは何とかなろうが、山のような偉大さを求めるのは無理のような気がしないでもない

が、ほんの一時でも、子どもたちの山になればいいのであって、センセイになる志があるかどうかだ。例えば「少年よ大志を抱け」で知られるクラーク博士が札幌農学校にいたのはわずか8カ月。時間の長さではなくて、強い印象と強靭(きょうじん)な志の問題である

政治家センセイはどうか。時間をかけて人を感動させる教師とは違って、何か一つ後世に評価されることを残した方がいい。福田首相にとっては洞爺湖サミットがそれに当たるかもしれない

環境問題ほど、論じやすいが、近づけば近づくほど登りにくい山はない。総論賛成各論反対、利害と打算の山である。七十歳を過ぎた首相には失礼ながら、あえて「大志を抱け」と言っておきたい。


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