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【社会】新型インフルエンザ対策 自治体の医療現場支援2008年6月23日 朝刊 国内の流行で死者は最悪で約六十四万人に上ると懸念される新型インフルエンザ対策で、保健所を設置する首都圏の自治体の約四分の一では、感染を防ぐ個人防護具(PPE)など医療現場を支援するための独自備蓄を検討していないことが本紙の調査で分かった。未知の感染症に立ち向かう医療現場の備えと、患者が受けられる医療水準に、自治体によって“格差”が生じる可能性もある。 アンケートは五月中旬、一都六県と保健所を設置する特別区、市(今年四月設置の千葉県柏市は除く)の四十一自治体の担当者に実施。すべてから回答を得た。 それによると、人工呼吸器などの医療資材や、マスクや手袋、ゴーグルなどPPEの備蓄について検討していないと回答したのは十一自治体(27%)に上った。また、医療機関で備える必要数を試算したと答えたのも十自治体にとどまった。 国は昨年度の補正予算で、発生初期の診療を担う感染症指定医療機関(三百五十カ所)にPPEを準備したが、医療現場の感染防護対策は基本的に自治体に委ねている。 発熱外来(都は発熱センターまたは発熱外来)設置をめぐる医師会との協議は約七割で始まった。だが、設置決定は自治体の約三分の一にとどまる。 医療体制の備えで困っていること(複数回答)は「被害想定に幅があり対策を詰められない」(44%)が最も多い。続いて「国の財政的な支援が不足している」「医療従事者の協力が得にくい」。 国への要望(複数回答)は「医療従事者に対する補償制度の創設」(78%)が最多。次いで「感染防護具の備蓄などへの財政支援」「(鳥から人に感染したウイルスを基に製造される備蓄用の)プレパンデミック(流行前)ワクチンを全国民分用意」の順だった。 <発熱外来> 発熱症状などを訴える人を新型の患者とそれ以外の患者に振り分け、感染拡大の防止を図る。病院への殺到などの混乱を防ぐ狙いもある。新型患者の増加後は重症と軽症の患者の振り分けを行う。
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